新型レピータ「AIR-EDGEレピータ」について

さて、八月初旬と言えば、毎年恒例の夏休み、そして帰省と言う訳で、私も実家の方へ帰っていました。で、実家と言えば、ポケットレピータがおいてある訳ですが、そのポケットレピータのパケット方式対応版、すなわち「AIR-EDGEレピータ」の貸出が始まるというニュースを聞き付けたのが5月初め。つまり、ちょうど前回の帰省時だった訳で、これ幸いと、旧レピータを東京に持ち帰り、で、早速秋葉原コミュニケーションプラザで新型レピータに取り替えてもらっていました。ということで、今回はそのレピータを実家に持ち帰り、初めて使用することになったので、レポートとしてまとめて見たいと思います。
というレポートを書いていたんですが、早くも半年も経ってしまいました(汗)。せっかく書いたので公開しないのもアレだと思ったので、取りあえず公開します。えー、まぁ、役に立つ人もいるかも知れませんし(ガビー)。


1.AIR-EDGEレピータについて

まずは、そのAIR-EDGEレピータとは何ぞやという辺りからお話を始めましょう。
元々、ウィルコムは、「ポケットレピータ」として、屋内などでの電波の穴を埋める目的の中継器を貸し出ししていました。これは、簡単にいってしまえば、基地局と移動局(端末機)がくっついたようなもので、本物の基地局に対しては移動局として、本物の移動局に対しては基地局と同じようにふるまう、というものです。もちろん完全な基地局として動作する訳ではなく、実際は本物の基地局内に備えられているプロトコルスタックにある程度頼る形でいくつかの制限付きで動作するようなものです。ただ、この本物の基地局に頼るようなものであったため、ポケットレピータ開発当初には考えられていなかったパケット通信についても制限付きながら対応していました。しかし、その制限というのが、32kパケット通信の速度が最大でも12kbps程度に制限されてしまうという、ちょっと厳しいものでした。
そして新たに開発されたのが、AIR-EDGEレピータ。これはその名があらわす通り、完全にパケット通信に対応しています。そのうえ、いわゆる「1局2チャネル(64k)」「1局4チャネル(128k)」に対応した基地局の中継をするときに限り、64k、または128kのパケット通信もできるようになっていたりします(残念ながらレピータ自体が複数の基地局と接続しチャネルを束ねて128kを実現するような機能はないようです)。形状も大きく変わり、「H」を潰したような奇妙な形、そして、その各端にアンテナが内蔵されていて、それぞれが基地局側、端末側に対応しています(2アンテナ構成でのダイバシティではありません)。各端のアンテナは、180度の指向性があるようで、基地局向けアンテナのある端を基地局の方にきちんと向けないと通信できない代わりに、それ以外の障害物や要素に邪魔される可能性も低減されているようです(古いレピータは水平面内無指向性だったために背後の鉄筋構造物からの反射などの影響を受けやすかった)。何度か設置場所をずらしていろいろ実験してみた結果、絶対的な感度と言う面では旧レピータにやや劣るようですが、その分、感度の安定性はやや高いようです。

接続可能なパターン
↑接続可能なパターン:基地局マークの「1x」や「4x」はそれぞれ、1基地局で32kパケット何チャネルに対応しているかを表す。1xなら1チャネル、4xなら4チャネル

接続できないパターン
↑接続できないパターン:1xや4xについては同上。AIR-EDGEレピータは128k対応だけれども、2基地局以上の基地局を束ねて128kを中継することは出来ない


2.AIR-EDGEレピータを使ってみる

早速、AIR-EDGEレピータを使ってみた時の雑感や速度計測結果などについて。まず、前提条件としてですが、以下のような条件となっています。
と言う感じです。何故にもう一台あるかについてはツインレピータ実験でも言葉を濁したとおり「ご想像にお任せします」と言うところですが、「からくりはとっても簡単」とだけ言っておきます(苦笑)。

ということで、とりあえずは旧レピータで実績のある場所に設置するわけですが、なかなかどうして、基地局をキャッチできません。

やっぱりアンテナ感度が落ちたのは痛いかな~。

と思ってみると、もう一台の旧レピータも、余裕で圏外表示です。どうも、環境悪化、と言うか、基地局と家との間にいろいろと障害物が増えてしまい、電波のとおりがあまりよろしくないようです。とりあえず、ちょこちょこと動かしてようやく受かる場所を発見したので、そこを正式な設置場所としました。ちなみに後で気づいたことですが、どうも、一日のうちで電波状況が激しく変動しています。と言うか、夕方、4時から6時ごろがどうしようもなく電波状況が悪いようなんです。それ以外の時間だと、逆に結構適当に置いてもあっさり受かってたりするので。これって一体なんなんでしょうねぇ。電離層がどうのこうのでノイズレベルが変わってるんでしょうか。

設置だけで随分行数を使ってしまいましたが、早速使ってみます。まずは音声。とりあえず旧レピータに接続されて実験にならない、なんて事がないように、手元に二台の端末(K3001VとJ3002V)を用意して、必要なら両方から発信し、レピータの通信中ランプを見ながら、新レピータにつながった方の端末で音声品質を確かめてみることにします。接続は極めてスムーズ。新レピータになったからといって特に問題は無いようです。しかし、ちょっと音声にノイズが乗りすぎです。これについては、正直、新レピータになって感度が落ちたからなのか、設置場所の環境自体が悪くなったせいなのか、いまいち分かりません。ただ、旧レピータで繋いでも、それどころかレピータ無しで端末から直接通話しても以前よりノイズは増えてしまっていたので、環境悪化説が濃厚です。

さて、次は早速パケット通信です。これについても、どちらのレピータにつながっちゃうか分からないから、K3001VとN401Cを両方用意し、とりあえずN401Cで繋いでみて、もしどうしても旧レピータに繋がっちゃう様ならK3001Vで旧レピータを一時的にふさいでしまってからN401Cで新レピータに、と言うことを考えていたわけですが、実際にやってみると、何度やってもN401C単独で新レピータにつながります。どうも、新レピータは旧レピータより優先順位が高いようです。昔旧レピータの実験でやったように、「実際の基地局が見える場合はレピータの方が感度が良くても実際の基地局を優先する」のと同じようなアルゴリズムが働いているようです。優先度はどうやら「本物基地局>AIR-EDGEレピータ>旧レピータ」と言うことになっているように思われます。また、旧レピータを二台使った場合、マルチリンク通信では二台のレピータをフルに使うと言う現象が見られましたが、AIR-EDGEレピータを使っている場合はマルチリンクになっても旧レピータの方にチャネルを取りに行くことは無いようです(これについては、基地局自体が1局しか見えず、またそれも64kにしか対応していないため異なる環境でどうなるかは分かりません)。

さて、そこで実際に通信をしてみますが、画像読み込み系速度計測サイトを使ってみたところ、概ね50kbps前後がコンスタントに出ています。また、カードをbitwarpPDAに取り替えてみると、圧縮が効いて画像読み込みで100kbps超。つまり、ほぼ間違いなく、レピータ経由で64kのリンクが張れていることが分かります。またその速度もほぼ64kでつながったときの最大速度近くまで出ているようで、AIR-EDGE対応レピータの名前は伊達ではなかったと言うことです。

最後に、排他性テスト。と言うかこれは実に簡単なことで、要は、AIR-EDGEレピータでパケット通信中、他の通信はできるや否や、と言うことなんですが、ハイ、これは下馬評どおり(下馬評?)、パケットも音声もお互いに排他処理になっています。パケット中は音声不可。音声中はパケット不可。ただし、パケットで一定時間以上(実測で約40秒~1分)放置し、リンクが開放された状態だと、音声の発着信が可能になります(その状態でパケットの通信を再開すると、旧レピータが空いているならそちらに再接続を試み、空いていなければ圏外になって切断されます)。

と言うことで、AIR-EDGEレピータの基本的なスペックは以上のとおりです。

3.AIR-EDGEレピータの不思議な振る舞い

はい、AIR-EDGEレピータについては、実はネット上に散々情報が出てきているため、いっそのこと何もせずにスルーしちゃおうかなぁ、なんて思ってたくらいなんですが、実は前のツインレピータの実験のときと同じく、とても面白い振る舞いをすることが分かったため、あえて実験ネタとして書いていると言うことなんですね。つまり、実は、今からここに書くことこそが、実は今回のメインネタ。

AIR-EDGEレピータを設置して二日ほどたった日、ちょっとおかしなことに気が付きました。と言うのが、音声通話をしていると、パケットがつながらなくなってしまう、と言うことが起こり始めたんです。本来ならレピータは二台あるのでどちらかが塞がっていてもどちらかが受け付けてくれるはず、なのですが。ただ、そもそも設置場所の電波状況がかなり悪くなってきていたので、「あぁ、どちらか一方が圏外に落ちちゃったのかな」と言う程度に考えていました。しかし、さすがに気になるので、設置場所の二階の窓際に行ってみると。

AIR-EDGEレピータは電界強度ランプ1個点灯。その隣に置いた旧レピータは、なんとフル点灯。どちらも普通に通信する分には申し分ない状態。その状態で、1回線のみの排他状態になっているんです。これはおかしい。

しかも、もっとおかしいと思ったことは、旧レピータがフル点灯している点。確かに旧レピータの方が感度は良いと書きましたが、それでも、環境悪化により良くて2個点灯、1個点灯や点灯なしと言うこともしばしばと言う状態。それが、極めて安定してフル点灯を保っています。

これはおかしい、と思い、ちょっと思うところあって、旧レピータを窓際から下ろします。無造作に床に放り出します。確実に圏外に落ちるはずなんですよね、こうすると。

フル点灯。保ってます。

フル点灯
↑フル点灯の図。電波の見通しは無いのに・・・

つまり、そう言うことです。

これで分からない人のために、最後の実験。

その状態で音声発信します。ちょっと条件により上手くいかないこともありますが、上手くいけば、旧レピータに繋ぎに行ってくれます。旧レピータの通信中ランプがつくと直後に(体感的には0.5秒ほど遅れて)、AIR-EDGEレピータの通信ランプが点灯します。

こういう感じで


はい、もう分かりましたね。

AIR-EDGEレピータにより中継された電波はさらに別のレピータで中継できるということです。

今まで、これは完全に不可能でした。だからこそ、ツインレピータによる通信環境の改善が出来ていたわけです。しかし、AIR-EDGEレピータは、旧レピータをだませるほど本物の基地局に近い出来になっている、と言うことのようです。AIR-EDGEレピータ同士だとどうなるか分かりませんが、下手をすると結構数珠繋ぎが出来ちゃうのではないかとさえ思われます。

と言うことで、実はこれは実験としては面白い結果ですが、実運用上は結構こまったちゃん。何故って、せっかくレピータが二台あるのに1回線しか同時に使えないわけです。

ただ、旧レピータも、実基地局が見える場合はそちらを優先します。ちょっと電波が弱って実基地局を見失い、基地局再検索をするときにAIR-EDGEレピータだけしか見えないような状況で、AIR-EDGEレピータを中継してしまうようです。逆に、AIR-EDGEレピータが基地局を見失って圏外に落ちると、旧レピータもいっしょに落ち、その時実基地局が見えればちゃんと実基地局側に復帰してくれます。と言うわけで、「時折1回線しか使えなくなる」と言う現象になっていたようです。

と言うことで、AIR-EDGEレピータでは、レピータ自体で数珠繋ぎっぽい動きが出来ちゃってる、と言う新しい発見があったので、今回はそのご報告と言うことで書かせていただきました。

えぇ、発見から半年以上経ってますけどね(自爆)。

4.まとめ


Special Thanks:
      ウィルコム(←えぇ~・・・)

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