今年もとりあえずやります~コラム「でぃーぽ」2006年を振り返る


◇と言うことでコラムでぃーぽ、今年も一年締めくくりのコラムを書いてみたりするわけですが、あれ、そう言えば、ウィルコムのことを「ポケット」と呼ぶのもやめちゃったところで、「でぃーぽ」って呼び方、いいのかね、これ(ガビーン)。

◇で、今年一年を振り返ってみるわけですが、去年が様々なサービスや端末を連発した「動の一年」であったことから振り返ってみますと、今年はウィルコムにとっては「静の一年」だったのかなぁ、と言う気がします。のっけから反感を買いそうな総括で申し訳ないのですが(苦笑)。

◇確かに今年は高度化PHSのサービスイン、次世代PHSの実験目標達成、等々、無線に関する様々な進歩のあった年でした。しかしその一方で、サービスや端末についてはいまいち大きな変革の無かった年と言えます。サービスについてはつなぎ放題の2xベース化、070定額の開始、と言う大きな二つのサービス展開こそありましたが、どちらかというといずれもマイナーチェンジの域を出るものではありません。また、今年はW-SIM端末が続々と登場しましたが、これも結局は去年のW-SIMと言うコンセプトそのものが始まったことを超えるインパクトとは言い難い気がします。

◇と言うようなことをつらつらと考えるにつけ、今年は「静の一年」だったかな、と言う気がするわけです。そして、もう少し思い切った言い方をすると、今年はウィルコムにとっては「守りの一年」に入っていたのかな、と言う気がします。

◇去年の音声定額開始以降快進撃を続けたウィルコムの純増数ですが、今年の前半をピークに、後半はやや落ち着いてしまっています。また、TVや雑誌などの広告についても、今年は余り多く見ることもなく、また、見たとしても「音声定額」を前面に打ち出したものと言うよりも、例えばZERO3だとか、低電磁波だとかいう、余りインパクトの強くない広告ばかりだった、と言う気がします。もちろんそのおかげでソフトバンクに端を発した不正広告騒動でも軽めのおとがめで済んだのかもしれませんが。

◇と言うことを考えた上で、さらに今年はどうしてこのような「守り」の態勢だったのか?について考えてみるわけですが、これは、ウィルコムが「増やす事業」から「改善する事業」にシフトしているのではないか?と言う考えが浮かんできます。

◇ウィルコム定額プランは、税込みで2900円ぽっきりと言う、異常な安さです。もし全ての人がこのプランだけで、他社通話も一切行わなければ、ARPUは2900円になってしまいます。もちろん、こんなARPUでは事業は継続できません。ざっくりと今の売り上げレベル、約2000億を維持するには、加入者400万としても、4200円のARPUが無ければなりません。そしてどんな会社でも同じだと思いますが、一旦確立した財務バランスを縮小するのは非常な困難が伴います。ARPUが下がったから支出を減らす、と言うことは簡単にはできないと言うことです。特に、ウィルコムのようにインフラ商売をやっていると、撤去にも大金がかかりますから、一度作ったインフラのための維持費を削ることはできないわけです。と言うことを考えると、支出を抑える努力をしながらもARPUを上げる努力もしなければならないわけです。

◇支出を抑えるといっても、先ほども書いたとおり、インフラにかかる維持費はそう簡単には減らせません。となると、削る場所はずばり、販売費用、すなわち「インセンティブ」です。しかし、ただインセンティブを減らすと言っても、端末価格の値上げとなればそれはそれでイメージがよろしくありません。しかし、ウィルコムには、昨年暮れに投入した新システム、W-SIMがありました。W-SIM端末は、単体販売価格とそれほど大きく差のない価格で販売されました。それはつまり、W-SIMの端末そのものには、さほど大きなインセンティブが乗っていなかったことを物語っています。そして、今年春以降発売された端末は(カード型を除けば)全てW-SIM端末でした。

◇そして、ARPUを上げるために、今度は様々なオプションを訴求していくことになります。例えば、データ定額や通話パックといったものをオプションで付けるだけで、ARPUは4000円近くになります。そして今年、ウィルコムストアや各種量販店でよく見られたのが、「データパック特価」や「通話パック特価」と名付けられた電話機料金。通常の新規・機種変料金より数千円安い値段を付け、これらのオプションへの加入を促進しています。このことからも、今年は新規獲得の絶対数よりも、契約毎の単価をいかに上げるか、に注力しているように感じたわけです。

◇というような感じで、今年は収支バランスを健全化するための「守りの年」だった、と言っちゃうわけです。その結果かどうかわかりませんが、今年の10月には単月黒字化が発表されました。ずっと昔、AIR-EDGEがヒットしてまもなく同じように単月黒字になったことはありましたが、あの当時はAIR-EDGEの高い単価とカード端末の安価な仕入れ値に支えられた黒字。しかし今年は、非常に収益性の悪いウィルコム定額プランとインセンティブの高い音声端末をメインとしたビジネスにもかかわらず黒字を達成した、と言うことです。このことは、斬新なサービスを次々と投入したり全52色なんつって大量の端末を投入したりすることよりも、ウィルコムにとっては価値あることだったのではないか、と思っていたりします。つまり、マーケットそのものを低ARPU、低インセ、適正端末価格、に変化させた、と言うことです。つまり世に言う「脱インセ」モデルということになります。

◇と言うことで今年は実に愚直にも基本サービスを堅実に提供しその上で黒字化という基盤を作った年だった、と言うのが私の見方だったりします。来年、このベースの上でどのような端末やサービスをリリースしてくれるのか再び楽しみにしつつ、本年のコラムでぃーぽはここまで。また来年もよろしくお願いしまーす。



戻る