いずれコラムはこれ一本?2005年を振り返る


◇と言うことで、なんか年越しちゃいましたが、相変わらずこのネタだけはやっちゃったりします。で、このコラムを書き始めた今現在、なんと昨年追加のコラムは2本しかないと言う状況。いずれ、このコラム「でぃーぽ」の唯一のコンテンツがこの「一年を振り返るコラム」になってしまうのでは、なんて思っちゃったり。っていうか、その唯一のコラムかもしれないこのネタさえ年越しちゃってて、もう、なんだかなぁ。

◇と言うことで、言わずもがなですが、昨年は、DDIポケットにとってはまさに激動の年でした。まず何より、年が明けて2月2日、いきなり、「DDIポケット」が消えてしまいます。うわぁ、このコラム終わっちゃったよ。ってなわけには行かないので、気を取り直して。2月2日、DDIポケットは、その名を「ウィルコム」と変え、新しいスタートを切ることとなりました。そして社名変更と同時に、従来のAirH”ブランドは、AIR-EDGEとロゴとつづりを変え、また、こっそりH”というブランドそのものをなくしていきます。と同時に、データ通信で新しいサービス、MEGA PLUSを開始し、今後もデータ通信に関してのマーケットリーダーとしてがんばっていくのかなー、なんて思わせてくれるわけです。

◇その流れは、新社名発足直後の2月18日、PHSデータ通信では史上最高速となる、256kbps対応AIR-EDGE PROの発売で一旦頂点に達します。そもそも、PHSでは、時間を4つに区切ってそれぞれが32kbpsのデータ速度を持ったスロットとして動作しているものなので、PHS単体では上下128kbpsが限界だったわけですが、そのPHS無線機自体を二台内蔵してしまって256kbpsの速度を実現してしまったPRO。ただ、料金もまさにPROクラスだったわけで、私の感覚的にはそれほど普及したと言うようには見えなかったりもします。私も、4x(128kbps)に戻してもいいかなぁ、なんて思ってるくらいの話で。ただもちろん、今となってはPROならではの優遇が数多く提供されていて、例えばMEGA PLUS無料だったりとか無線LANオプション無料だったりとか、なにげにお得感はアップしていたりして、本格的にモバイルする人とか、または、転勤が多くて固定電話引くのが面倒と言う人が自宅用にも使う、なんていう場合は、それほど悪くないのかなぁ、なんて思うわけです。

◇と言う感じで、データ通信向けサービスのラインナップを充実させていくのかなぁ、なんて思っていたら、その矢先に、なんと、日本初(1つの国内すべてをカバーする事業者としては世界初)の音声通話の定額サービスをリリースしました。これはまさに業界の激震ともいえる出来事。まず、移動電話においては、無線帯域の問題から音声の完全定額化は不可能、と言うのが定説であったわけで、それを、同キャリア間という制限はあるものの、完全に無料としたことが一つ。そして、その料金が、税込みで2900円と言う信じられないような破格値だったことがもう一つ。携帯電話の一般的な音声通話可能な最も安いプランが、大体3000円台後半から、と言うところに、税込みで3000円を切る価格で、しかもその基本プランだけで音声通話が無料、メールも完全無料、と言うプランが現れたわけですから、一大事です。この発表直後から、音声定額の開始まで1ヶ月以上の間があるにもかかわらず予約が殺到し、音声定額開始前の3月から4月だけでも9万というPHSキャリアとしては歴史的な純増を記録しました。さらにその後、毎月6~7万人をコンスタントに増やすと言う、開業当時にも迫る勢いで加入者を増やし、昨年末には開業以来の最大加入者数をも達成してしまった、と言うのもこの音声定額の効果。まさに、昨年のウィルコムは音声定額に始まり音声定額に終わったと言っても過言ではなさそうです。

◇さて、ウィルコムが業界初のこの思い切ったサービスを発表したほぼ同時期、その裏では、PHSに対する確実な、しかももっとも強い逆風が吹きました。それが、NTTドコモのPHS撤退報道。一時は報道内容を否定したNTTドコモでしたが、2月終わり、結局はPHS撤退を正式報道。これは、世間の目には、「巨艦NTTドコモさえ見捨てたPHS」と言うように映りかねない、PHSに対する最も重要な出来事といえます。もちろん、これに関する正しい理解としては、「PHSという市場においてはNTTドコモがDDIポケット(ウィルコム)に負けた」と言うことになるわけですが、世間的には「PHSの敗北」と映ったようです。もちろんウィルコムもこれを座して看過したわけではなく、まずはドコモPHS撤退発表翌日には「PHSはウィルコムにお任せください」と言う新聞広告を出し、ついで、他社PHSからウィルコムへの乗り換え優遇キャンペーンを打ち出して、積極的にPHSそのものの良さを訴求していきました。一旦は終わった乗り換えキャンペーンも秋には再び復活し、さらに延長されて、積極的に「PHSはまだ終わったわけじゃない」と世間にアピールし続けているのが今の状況。どうやらこの動き自体は、音声定額の人気や話題の新機種の登場とあいまって、「このところPHSが元気」と言う表現が新聞や雑誌などでも見られるようになり、一定の功は奏しているように見えます。

◇さて話はさかのぼりますが、去年は、ウィルコムが前々からコンセプトを出し続けていた、超小型総合PHSモジュール、いわゆる「W-SIM」をリリースした年でもあります。正式リリースが7月、そして、端末の発表が9月、発売が11月と言うペースで進んできましたが、当初は誰もがウィルコム主導で淡々と通話用端末とデータ用端末が出て、後はW-SIMフォーラム参加者によるSIM STYLEの登場を気長に待つことになるかなぁ、と思っていたところ、思わぬ伏兵が現れたのも記憶に新しいところかと思います。それが、WS003SH、W-ZERO3です。これは、日本市場では事実上はじめてのキーボード搭載スマートフォンで、また、Windows Mobileと言う汎用性の高いOSを採用したものとしても初めてです。ついでに言えばVGA液晶を搭載し、Javaも動き、IE/Opera/NetFrontの中から好きなブラウザを選べるし、こんなPDAライクな端末でももちろん電話・メールの発着信は出来る、と言う端末で、発売の12月中ごろから今に至るまで大人気でいまだに店頭・ネットを問わず予約の列が出来ていることはご存知の通り。正直、私自身は、発表のときからこんなに人気になるとは思ってなかったんですが、一体なぜにこんなに引っ張りだこになってるんでしょうね。PDA市場はかなり閉じてると思ってたんですが・・・。とりあえず、ウィルコムの人は、10万台と言わず20万台売るつもり満々のようで、今後後継機が出てくるかどうかも、今回のW-ZERO3の売り上げ次第といえそうです。

◇さて、端末のネタが出たところで、去年の秋の新端末ラッシュのことも触れておきたいところ。一昨年5月に京ぽんことAH-K3001Vを出して以来、約1年半にわたって一般向け音声端末については不作状態だったウィルコム、ですが、去年の秋、久々の新端末、しかも、レガシーな音声端末だけでも4機種を同時発表という、feelH”以来の一斉発表を行いました。内容は、AH-K3001Vの直系であるWX300Kと、WX310K、三洋の新機軸端末WX310SAと、JRCのWX310J。また、310SAの発売とともに、ウィルコムがPHSとしては初めてJavaアプリの配信コンテンツのプラットフォームを提供し始め、いよいよPHSでもアプリ配信が当たり前の時代に入ってきました。今のところ対応はWX310SAのみとさびしい状況ではありますが、310Jの対応も最初から言われていますし、W-ZERO3もちょっと違うプラットフォームながら配信が始まっています。と言う形で、端末に関しては久々に潤沢に提供され、あわせてコンテンツも新しい局面を迎えた、と言うのが、去年のウィルコムの動きの一つであると言えそうです。

◇話は少し戻りますが、去年の半ば、6月には、思いもよらぬ発表がありました。と言うのが、総務省が1.7GHzと2GHz帯でIMT-2000の新規事業者を募集していたところ、なんとウィルコムが「次世代PHS」なるものを掲げて2GHz帯獲得に名乗りを上げる、と言う事件です。これには、さすがの私も驚きました。そもそも、PHSというのは明確な割当をもらわず、PHS全体に割り当てられた周波数をPHS事業者がお互いに共用する、と言う性質のもの。ですから、ウィルコムが新しい通信方式で参入するためには、他社のPHSに迷惑をかけないために新たに周波数を割り当ててもらわなければならないのは確かに当然と言えば当然なのですが、そもそもの「新しい通信方式を立ち上げる」と言うことに対して、私は驚いていたりします。次世代PHS、今のところ、アクセス方式は今と同じ方式(TDMA-TDD方式)で、OFDMを用いて帯域を大幅に拡張し、20~30Mbps程度を目指すと言っているところですが、果たしてどの程度まで、ウィルコムたった一社で実現できるのか、楽しみでありつつもちょっと心配だったりします。ちなみに、件の2GHz帯については、総務省が当初の方針通り、IMT-2000に認定された方式のみとしたため、ウィルコムは申請せずに流したようです。いずれ、他の周波数帯(2.5GHz帯など)の開放の議論が起こったときに、再び手を挙げるであろう、と言うのが一般的な見方のようです。

◇と言うように、去年のウィルコムに関しては、この一文章だけで語りつくせないほど、様々な新サービス・新戦略を打ち出してきた、「動の一年」ともいえる一年でした。一昨年までの守りの姿勢を貫き続けたDDIポケットとはまるで別の会社のように。事実、KDDIからも名実ともに独立し、別の会社となったのではあるのですが、ただ親会社が変わるだけでこれだけ大きな変革があると、一体誰が予想したでしょうか。この勢いなら、今年もさらに驚きの新サービスを打ち出してくれそうな予感がします。

◇と言ったところで今回のコラムはこれにて終了です。昨年も一年付き合ってくださってありがとうございました。今年もよろしくお願いします!



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