今年もやります回顧録 ~ 2004年のポケットとかを振り返る


◇と言うことで、タイトルのとおり、今年も毎年恒例、一年のDポやその他通信業界の動きを振り返って、どんな年だったかのおさらいと総まとめをして見ましょうという毎年恒例となりつつあるコラム。ものすごく久しぶりのコラム更新がこれですから、ひょっとするとこのコラム、今後一年に一本しか更新されなかったりして(冗談に聞こえません)。

◇まずは年が明けて、Dポ的には、「エリア拡大」が今年最初の動きと言えそうですね。去年後半より徐々に加速してきたエリア拡大・充実ですが、今年に入ってからさらに広がり始めました。また、それに加えて都市部を中心にアンテナエレメントが8本あるような大型アンテナを備えた基地局が急速に設置され始めます。これは後にDポによる発表で明らかにされたように、高度化PHS規格の一部を取り入れた、大容量・高速通信対応基地局でした。昨年より期待されていた256kbpsのサービスを実現するためと言っても過言ではないこの基地局の導入は、その後さらに数を増やし、都市部のみならず一部の郊外地域に設置された例も報告されています。結局このタイプの基地局は、今年一年だけで全国に数千局配備されたと言いますから、いよいよ256kサービスの開始は近いともいえますし、また、256kサービス開始に向けた意気込みが感じられます。結局今年中のサービス開始は見送られた模様ですが、今年度中には開始される見通しです。これだけ前準備をしっかりとしているわけですから、開始後の品質にも注目してみたいですね。

◇んでまぁちょっと個人的なことですが、今年初め、bitwarpPDAを契約してしまいました。これは、2000円で対応PDAでなら128kが使い放題と言う、夢のようなサービスです。これは今でもまだ結構使ってます。と言うより、りにゃざうでこれ以外を使うことはほとんどなくなりましたね。開始から2~3ヶ月はやっぱり上位回線の容量不足なのか、中継サーバのキャパシティオーバーなのか、とにかく通信速度が不安定で移動中のダウンロードなどが途切れてしまったりしたため、AirH”を併用してカバーしていたのですが、年度が変わる頃にはすっかり安定して全く不自由なく使えるようになりました。画像情報の間引きも気にならないレベル、むしろ間引きによる体感速度向上のご利益の方がうれしいくらい。正直、対応PDA利用者にはものすごくお勧めできます。こいつ+りにゃざうのおかげで、私のAirH”は家の固定回線+出先のPCでの利用程度にしか使われなくなり、ちょっともったいない状態だったりします。まぁ、256kへ向けた「ダシ」だと思えば・・・(えぇ~)。

◇そして、Dポから話がそれつづけますが、今年はアステルに大きな変化が起こった年でもあります。まずは3月、つまり年度末に当たりますが、サービス停止を表明していたアステル北海道が、完全停波となりました。九州に続いて二社目となり、日本の南北の大きな島の二つが完全にアステル圏外となってしまいました。そして、数ヶ月をあけずに北陸アステルがそれに続いて停波。また、関西・中国も、独自網部分である定額データサービスを除く前サービスの停止を明らかにし、四国・中部もそれらの流れの中で最終的にサービス停止に向かいました。一方、残った沖縄・東北・関東についてですが、沖縄は比較的速い時期にDDIポケットとの協業を決断。その後、事業形態について交渉がまとまり、アステル激動の本年が終わり年が明けるとほぼ同時に、「ウィルコム沖縄」として再スタートすることが決定しました。関東では、鷹山が今年度初めにスタートさせるはずだったボイススポットフォンの出荷が遅れ信用を失い、また、上期末に発表されたDDIポケットとのローミングについても、単に強引にDポ電話番号を自社端末に焼きこむだけと言うお粗末なサービスでひんしゅくを買います。しかし、一方でVSフォンについては今後さらに力を入れ、固定無線電話システム、すなわちPHSのコンセプトの一つとして提案されてきたFWAシステムとして大きく変貌を遂げようとしつつあり、今後の動きに注目できそうです。そして最後になった東北ですが、こちらはアステルローミングが終わった今でも、何も変わらず、ただ静かにアステルサービスを続けていくようです。このように、最後に残った三者がまさに三者三様、それぞれ考えられる別々の選択肢を選んだことはなかなか面白くもあり、しかしこのように相互協力できないまでにアステルはばらばらになってしまっていたのかと寂しくもあります。とにもかくにも、アステルの歴史上は、相互ローミングの途絶えた2004年が、アステル崩壊の年として刻まれることになるのでしょう。

◇さて一方でDポの話に(ようやく)戻りますが、昨年から延々続いてきたサイトお試しキャンペーンがようやく終了し、その代わりにつなぎ放題コースのサイト利用料が改定され、完全に定額の範疇となりました。また、その直後、今年Dポにとって最大のヒットとも言える製品が登場します。言わずとしれた「京ぽん」ことAH-K3001Vです。IE、NNに続く第三のブラウザとも呼ばれるOperaを搭載し、あらゆるPC向けサイトのほとんどを苦もなく表示する能力を秘めたK3001Vは、特にネットジャンキーを中心に大ブレイクします。生産台数が少なかったこともありますが、地域をとわずK3001Vは凄まじい品薄状態となり、どの店舗に何台入ると言うレベルの情報までもがネット上を駆け巡りました。普段PHSどころか自分の持つ携帯にさえあまり興味を持たない人でさえ、ネットのあちこちで見かける「京ぽん」の文字には何かを感じていたようで、普段携帯に全然興味のなさそうな人から「それ京ぽん!?」と聞かれちゃった、なんていう報告をいくつか聞いたりしたものです。少なくとも、携帯・PHS業界においては、K3001Vの登場はまさに時代が大きく変わる「革命」のような出来事だったと言えそうです。

◇もちろんK3001Vがもてはやされたのは「定額利用可能」であったことも大きいですが、今年は、ドコモ・ボーダフォンもauに続いて完全定額オプションの導入に踏み切りました。異なる周波数の専用のセルを設けると言う方法で従来サービスへの影響を最小限に抑えようとしたEV-DOと異なり、ドコモ・ボーダフォンとも、3Gサービスの通常使われるのと同じ局を利用しての定額サービスの提供で、音声サービスに影響を与えてしまう可能性を考慮してでしょうが、値段もやや高めで、かつ、帯域の制限もされていると言うものです。しかし、ようやく携帯電話でのデータ利用が定額で使えることが当たり前の時代となりつつあるようです。一方、auはそう言った動きよりさらに進み、K3001Vと同様のフルブラウザを搭載した機種を年末にリリースしました。しかし、やはりと言うか、フルブラウザを定額で提供することは少々無理があるようで、こちらは定額外となっています。

◇さて、今年後半には少々残念なこととして、feelH”の登場と同時に始まったSoundMarket、および、ボイスミーティングサービスなどの音声サービスが終了となってしまいました。やはり、参加レコード会社の少なさ、当初からメーカ側の勢力争いにより規格が定まらなかったこと、そしてその規格争いにより数少ないレコード会社さえもそれぞれの勢力に分裂してしまったこと、などなど、サービスとしては非常に稚拙で、Dポのリーダーシップのなさが最大のサービス失敗の原因と言えるSoundMarketが終わることとなりました。一方でauでは入れ替わるように着うたフルと言う名前で全く同様の音楽配信サービスが始まり、Dポの撤退とは裏腹に音楽配信サービスはこれから盛り上がりそうな予感です。

◇と、サービスの変遷を眺めてきましたが、今年はDポにとって、過去にない大きな出来事が起こった年でした。そう、ここの読者の皆さんならもう当然のようにご存知だと思いますが、今年半ば、一部報道で米国の投資グループがDDIポケットを買収すると発表され、その直後、米国カーライルグループと京セラによるコンソーシアムから、Dポの買収が正式発表されました。昨年も様々な方面で噂されつづけてきたDポ買収がついに実現したと言うことになります。買収後6割の株式を保有し経営権を握るカーライルグループはそれ自体は独自の事業を持たず、世界中の様々な企業に投資して投資益を得ることを生業としている会社で、今回の買収についても、数年後の株式公開をにらんだ「独立支援型買収」であると見る向きが強いようです。端的に言えば、KDDI子会社としてのDDIポケットは、今年ついに独立を果たしたと言えるわけです。10月から新体制に徐々に移行し、最終的には来年2月2日に会社名を「ウィルコム」と変え、完全に新会社としてスタートすることとなります。

◇今年一番のこの出来事、このことにより、DDIポケットの幹部たちからは、口々に「KDDIからの独立」をにおわせる言葉が出てきます。また、その独立により、今後は(KDDIに経営権を握られていた)これまでとは全く異なる事業展開が可能である、といったニュアンスの言葉が公演やインタビューのたびに聞かれるようになりました。今後、これまでの親会社であるKDDIに遠慮しない、思い切ったサービスの提供が期待できそうな、どちらかと言えば「グッドニュース」かなぁ、と言うのが私のこの買収に対する感想です。

◇と言うことで、今年は大規模なアステル崩壊と言う暗い出来事が起こった反面、PHSとしては久々の大ヒットとなったK3001Vの登場と、DDIポケットの独立という明るいニュースもあり、昨年とは打って変わってPHS業界に大きな動きの見られた一年でした。来年にはいよいよKDDIのくびきを逃れたDDIポケットの攻勢に転ずる姿が見られ始めそうです。

◇と言うことで今年一年お付き合いありがとうございました。もうちょっとコラム更新できればよかったんですけどね。あ、あと、来年、社名が「ウィルコム」になっちゃっても、相変わらず「ポケット」って呼びますよ。一応独立したのでお情けで「DDI」の文字は外してあげますけど。なんたって「DDIポケットの正式社名がウィルコムに変わってしまっても相変わらずそれを『ポケット』と、頑なに、時に極右的過激さを持って呼び続ける会」の会長ですから(ガビーン)。それでは、来年もよろしく!。



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