携帯電話の位置情報~使ってる?


◇携帯電話・PHS(以下携帯または携帯電話と略)ってのは、元々電波を使い、いろんな場所をうろうろできるもの。となると、それを管理するためには、その電話機が今一体どこにいるのか、という情報は不可欠な訳で、実際、位置登録は携帯にとって不可欠の要素の一つです。そうなると、逆にその位置情報を使って便利なサービスを提供できないかな、と考えるのも当然である訳で、様々な位置情報サービスが考え出されてきました。そういうわけで、今回のお話は「携帯電話の位置情報」ということで言って見ましょう。

◇さて、本題に入る前に、例によってそもそものスタート、つまり位置情報の仕組みについて、から簡単に説明してみましょう。ご存知の方は、言うまでもないですが読み飛ばしてください。これには二つの意味があり、知っているなら読む必要はないですよ、という意味と、知っている人なら分かる私の間違いに対するツッコミを防止する、という意味です。って余計なことを書かなきゃ良いのに(自爆)。

◇携帯電話の位置情報といったとき、大きく三つのクラスに分けることが出来ます。まず一番上のクラス、「一斉呼び出しゾーン位置」。これは、その携帯を呼び出すときにおおよそどの辺りに対して呼び出しメッセージをばらまけば良いか、というおおざっぱな位置情報です。これは大体数基から数十基(場合によっては数百基)の基地局のまとまりであらわされ、市町村単位がかろうじて分かる程度の制度の位置情報です。これがなぜ必要か、携帯がいまどの基地局のエリア内にいるのかをピンポイントで記録する方が効率的ではないか、という向きもあるでしょうが、これは大まかに言って無線資源と電話機の省電力化のためです。呼び出しゾーンを大きく取っておけば、移動する携帯電話が位置登録をする頻度を下げることが出来る訳で、バッテリも無駄使いしないし無駄な無線資源も浪費しない、という訳です。

◇次のクラスが、さっき出てきた、基地局単位の位置情報。これは、基地局のカバーエリア程度の精度で現在の位置を知ることが出来るものです。端的に言うと、現在通信中の、実際に繋がっている先の基地局の位置、となります。そういうわけですので、この情報は(基本的には)通信中でないと使うことは出来ません。というのが、接続されていない状態では、ネットワーク側は先ほど出てきた「一斉呼び出しゾーン」の情報しか保持しないからです。一時的にせよこの情報を得るには、ネットワークから問い合わせをし、端末が何らかの応答を返す必要があります。

◇最後、一番下のクラスが、「端末による自位置測定位置情報」です。これは、端末が何らかの方法で自分の位置を測定し、それをネットワークに通知して位置情報として利用する、というもので、方法によりますが、かなり高い精度で位置情報を得ることが出来ます。当然ですが、これも端末がネットワークに繋がらないと全く使い物にならない情報の一つです。もちろん、単にGPSで自位置を数字の羅列で見るだけなら出来ますが、これに何の意味もないことは分かりますよね。GPSケータイとか、DポのPHS位置情報(後述)がこのクラス3に相当します。

◇こういう感じで、携帯には三つのクラスの位置情報がある訳です。

◇ところで、GPSケータイなるもの、これは一体何物なのか、という話もちょこっとしてみましょう。このGPSケータイ、元々、cdmaOne、cdma2000で、基地局間の同期のために使っていたGPS信号を流用して、これを位置情報測定のアシストに使おうと言うものです。cdmaOneはちょっとどうだったか覚えてないんですが、cdma2000では、3GPP2でネットワークアシストGPS測位機能が定義されています。携帯電話端末単体でGPS測位を行おうとすると、端末が小型でもあるし使用状況も使用姿勢も様々、そのため、精度を出すのがかなり難しくなります。そのため、ネットワーク側から位置測定のアシストのための信号を発行して、位置測定をアシストする、というものです。こう言うわけで、cdma2000に移行した早い段階でGPSケータイというものが可能になりました。一方、ドコモもGPS内蔵端末を一機種出していますが、あれは本当に純粋にGPSを内蔵してしまっただけの携帯電話です。もちろんアシストもないため、精度も出にくく使う際にちょっと神経を使う必要があります。昔DDIポケット向けで出ていたGPS内蔵PHS(実際はPHS内蔵GPSハンディナビに近い)、ロカティオと発想は同じですね。

◇ついでに、PHSの話が出てきたところで、PHSの位置情報についてもちょいと。まずは我らが(笑)DDIポケットの位置情報についてです。このDポの位置情報についてですが、数年前まではクラス2の位置情報でしたが、最近はクラス3の位置情報に移行しています。これはちょこっと説明が必要なのですが、元々、Dポの位置情報では、位置情報取得時に、端末はまず、電界測定を行い、周囲3基地局の電界強度を測定しネットワークに報告します。ネットワーク側ではその情報を元に端末の位置を決定してコンテンツサーバに知らせ、位置情報サービスが受けられるという訳です。んで、数年前まで、実はこの三つの局情報を送っていたにも関わらずもっとも電界の強い基地局位置を端末の位置としているだけ、つまり、実質基地局位置単位の情報(クラス2の位置情報)しか得られなかったのですが、最近は電界強度を比較考量して現在位置をより正確に計算するようになっています(クラス3)。これ、昔から3局から計算、とDポは言っていたのは言っていたのですが、経験的に基地局位置が出ちゃうことが多かったため、実際はもっとも強度の強い基地局位置を出していたと考えられます。ただ、場合によっては中間位置が出ることもあったので、計算を簡略化するために特別な条件の時だけまじめに計算、としていたと思われます、最近はそれをほとんどの場合でまじめに計算するように変えたのでしょう。

◇で、Dポ以外のPHSの位置情報についてですが、実はよくわかりません(苦笑)。昔アステルを使わせてもらったときはまだ位置情報サービス自体存在しませんでしたし、最近はドコモPHSを使っていますが、いずれもカード型、位置情報を使う機会はなかったりします。が、どうも聞いた話を総合してみると、ドコPもアステルも、基地局位置がそのまま出てきてしまうようです。ドコPもアステルも、元々はマイクロセル型エリア、なので、基地局カバーエリアが100mとか50mという単位であるため、最近基地局位置を返すだけで十分な精度が得られるからだと思われます。まぁ、ドコPは最近マクロセルも投入しているので、いまいちこの辺破綻しちゃってる気はするのですが・・・(汗)。ちなみに、ドコモはDポと同じように基地局IDから位置を取得してネットワークから返す、と言うことをやっているようですが、アステル、基地局自体に位置情報(緯度・経度)を入力してあって、ネットワークで検索するまでもなく位置情報が取れてしまうとのこと。いや、これも又聞きなので、ウソかも知れません(爆)。

◇で、ここからようやく本題なんですが(前置き長すぎ)、ずいぶん前のアンケートの結果で、「携帯電話の機能でもっとも必要ないのは位置情報である」という結果が出ていたことが、このコラムを書くきっかけだったりします。これが本当なのか、と思って位置情報についてまとめてみたのですが、まず、クラス1(呼び出しゾーン)の位置情報を使ってない人って、いないですよね。まず、電話を受ける、という基本的な動作で、この位置情報は使われていますから。と書くと、へ理屈としか思われない訳ですが、たとえば、携帯から110とかにかけると、ある程度近所の警察署にかかります。これはこのクラス1の位置情報と関わりがあります(実際は少し違うけど)。警察なんて滅多にかけないよ、というなら、たとえば道路情報ダイヤルなんて、短縮ダイヤル(ドコモなら#8011)にかけると、自動的に最寄りの情報局に繋がりますよね。これがまさにそうです。なので、こうやって何気なく使われる電話でも十分位置情報を利用しているといえる訳です。

◇また、情報コンテンツサービスにおいても、位置情報はかなりしょっちゅう使われています。こちらで使われることが多いのは、クラス2、3の位置情報。iモードのiエリアが、クラス2の位置情報に当たりますが(出てくる情報はもうちょっとおおざっぱみたいですけど)、ちょっと調べてみたんですが、かなりの数のサイトが登録されています。天気予報なんてほとんどiエリア対応です。だってそりゃそうですよね、ちょいとアクセスして、自分の周囲の天気を知りたい、ってのが天気予報の主な使い方なんですから。それに、天気予報にそんな精度も必要ありません。このクラス2の位置情報もほとんどの人が意識せずに使ってしまっているように思われる訳です。

◇じゃぁ、どうしてアンケートで「もっとも不要」なんて言われるのか、と考えると、ほとんどの人が、位置情報、と聞いたときに、クラス3の位置情報を思い浮かべているからだと思われる訳です。ぶっちゃけGPSです。そう、どういう訳か、一般的に「位置情報」というと、どうしてもみんな「GPS」と思い浮かべてしまうというのが、現在の日本のジョーシキ。これはそもそも某社が「GPSケータイ」なんぞと名前を付けて、「位置情報を使うにはGPSしかないのよ~」という(明らかに間違った)意識の植え付け戦略をとったことに原因があります。いや、別にこういった世間に蔓延する誤解の原因を糾弾するのが今回の本題と言うわけではないのでこの辺にしておきますが、とはいえ、ほとんどの人は意識せずに位置情報を使っているにも関わらず、この位置情報をもっとも必要ない機能と位置づけてしまっていることは、何ともおかしな話だなぁ、と思ってしまうわけなんですね。

◇んで、当然のことながら、このアンケートには、おそらく非常に少数派であるPHSユーザの声はほとんど反映されていないと思われます。ここを読んでいる方のかなりの方がDポユーザで、結構な割合が音声端末利用者であると(勝手に)考えると、ほとんどの方が、位置情報を日常的に使われているのではないでしょうか?。先ほどもちょいと言いましたが、少なくともDポでは、かなり古い時代から、クラス3の位置情報を利用することができました。このため、位置情報の扱いについて、Dポユーザはかなり熟達していると思われます。なにより、Dポの位置情報、東京都内をはじめとする都市部での使い勝手が格段に良いんです。たとえば最寄り駅検索。都内、特に23区内から山手線内くらいの都心になると、まず駅の密度がかなり密になってきます。駅同士の間隔が500m以下というのはもはや当たり前。このとき、最寄り駅検索を行うと、Dポ位置情報はかなり正確に最寄り駅が出てきます。PDCのクラス2の位置情報ではこの辺ほとんどあてにならないのですし、GPSではビルの谷間ではまず役に立ちませんが、そういう意味で、Dポ位置情報は使い勝手がかなりよいと思うわけです。そして、その駅間隔と同程度の間隔で様々な施設があるわけで、施設検索でも程良い位置精度となっているわけです。

◇そして、ドコP、アステルもやっている、遠隔起動型位置情報。要は、端末機がある位置を、別の場所から知ることのできる機能のことですが、Dポでは、トヨタ・auと共同でやっている「ぴぴっとフォン」なんかがこれに当たりますが、これらのPHS位置情報は、企業ユーザの間ではかなり一般的に使われているようです。外回りのセールスマンの位置を逐次確認する、なんて言う古典的な使い方はもとより、その他様々な用途(テレメトリングが多いようですが)に使われていて、位置情報専用PHSなんてものまであるところが、いかにこの用途での使用者が多いかを示していると思うわけです。

◇そもそも広大な日本を自由自在に移動できることをそのもっとも大きな特徴とする移動電話、なのに、その電話機が持つ「位置」という情報の存在と重要性に気づいていない、使いこなせていないというのがどうやら日本の携帯市場の現状のようです。自分の位置という情報はいかなる第三者によっても提供できるものではないとても貴重な情報なんですから、「そんなものいらない」なんて言ってほしくないなぁ、とぼやきつつ本コラムこれにて。



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