PHSというステータス


◇H”、PHSをお持ちの皆さんが結構悩んでいることの一つに、人に番号を教えるたびに「PHSなの?ダセー」とか「なんで今ごろPHSなの?」とか「・・・でもつながんないから余りこの番号使わないね」なんてひどい言われようをされてしまうこと、というのがあります。とかく、昨今では、PHSだというだけで、使ってみたことさえないのにエリアが狭いと決めつけていたりつながらないと決めつけていたり、と、PHSに対する偏見はすごいものがあります。このような現状に我慢できかねる人も多くなってきているように感じます。

◇そういうわけで、最近のPHSの解約、ほとんどが、こういうイメージ的な部分が原因になっているのではないかと思うんですね。たとえば、以下にあるPHSユーザ、Aさんの例を挙げてみましょう。

◇Aさんは東京都23区内の実家から横浜の会社へ毎日通う23歳のOL。高校生の頃に、その頃流行っていたPHSを買って、それからずっと使いつづけています。水泳とカラオケが趣味で、週末は必ず友人とどちらかに出かけているという人。どちらの趣味も、会社に入ってから知り合った友人と出かけるのが主です。そして、そんな友人達との連絡には、やはりPHS(携帯)は欠かせないアイテムだったりするんですが、そんなある日、友人の一人がAさんに言います。「いつまでピッチつかうのー?」別にPHSだからと何も考えていなかったAさん、「んー、別に変える気も無いし、面倒だし」と、答える訳ですが、「でも今時ピッチなんて変じゃない?そろそろ変えた方が良いよ」という友人の一言に、Aさんもちょっと考えてしまいます。確かに、彼女の周りはほとんど090。なんだか自分だけ違っているのもおかしいし、友人に「変」と面と向かって言われると、なんだか変えなくちゃならない気になってきます。そして結局Aさんは、次の週末、携帯電話を買いに出かけることとなったのでした。

◇あ、別にモデルは全くいないですし、そもそも無意味な設定が多いぞ、この例(自爆)。

◇で、この話のポイントは、1.AさんはPHSで何も不便していなかった、2.友人の「変」の言葉には何の根拠もなかった、3.なのにAさんは結局PHSを解約してしまった、というところに集約されるでしょう。そもそも、「PHSという通信方式はナントカカントカ~」とやっちゃう私のようなオタクでもない限り、PHSを持つということに何らかの拘りを持っているような人なんて、まずいないですよね。Aさんのように、普通に携帯として使っているだけ、でも、なんだかダサいという目で見られる070という番号には少しずつ違和感を感じている・・・という人の方がまだ圧倒的に多いはずです。こういう人たちは、かなり高確度の「解約予備軍」であって、いつどんなきっかけでPHSを解約するとも限りません。Aさんは、何一つ「変」と呼ばれる根拠さえ聞かされず、あっさり解約に至ってしまいましたが、こうやってPHSを捨てていく人はかなり多いはずです。ちょっと適当なことを言ってみますが、こういう「解約予備軍」は、100万人を下らないはずです。

◇この「解約予備軍」は、しかも確実に増えているようですね。それはとりもなおさず、携帯各社の料金がかなり安くなってきたから。今PHSを持つ人のほとんどが、当初は「安いから」と選んでいるはずです。それが、差が無くなる。また、高校生だったユーザは大学に行き、社会人になる、そして、経済力がつくと、少しばかりの安さは魅力では無くなる。こういった事が重なり合って、「解約予備軍」が増えているのは確実です。そして、比較的経済力の弱い学生諸君は、そもそもPHSの存在を知らなかったりします。いくら携帯が安くなったとはいえ、区域内のPHS同士の料金には全く歯が立ちません。学生の仲間同士の連絡なんぞに使うのだったら、未だに圧倒的な安さは存在します。それでも、そもそも知りもしない訳ですから、増えないのは当然です。

◇そういうわけで、本当にPHSを評価して使っている人は、ほんの一握りです。それ以外は、いつ解約してもおかしくない人々という訳なんですが。

◇逆に、PHSを持つということに「ステータス」を感じる人も存在します。それは、オタク的な歪んだステータス(PHSなんて誰も使ってないだろ、へへへ)みたいなものではなく、純粋に優れた通信方法としてのPHSを持つことにステータスを感じる人のことです。

◇PHSは、エリア内では非常に優れた特性を示します。音はどんな携帯よりもきれいだし、64kbpsという通信が10円/分から利用できる、つながれば非常に安定しているし、最近ではネットの定額利用もどこでも出来る。これだけのものを使えるエリアに、自分は住んでいるし、エリア内に生活している、これは一種のステータスに近いものがあります。都尊地卑的な考えではありません。単純に、これが使える場所に生活していて良かった、という、それだけの話。田舎の人はPHSが使えない、じゃなく、田舎なら携帯でも仕方がないよね、というだけの話。こういった意識を持った人もそこそこいるような気がするんですよ。

◇「え~、PHSなんですか、いいですよね、この辺でも使えるんですかぁ」「うちの実家がすごい山の中で、PHS届いてなくてね、携帯なんだけどね~」「ほら、携帯ってすぐゴニョゴニョするじゃない?あれ嫌なんだけど、やっぱりPHSはいいよね」、PHSを持つ人に対して、こういう事を言う人々を、実際に見ることがあります。なんでPHSじゃないのかというと、いろいろ家庭や仕事の事情があるわけですが、PHSを使いながら、または使っていなくとも、PHSって、いいなぁ~、と思っている人が確実にいます。どこに?といわれると困るんですが、実は、私の周囲に、です。正確には、私の会社に、です。

◇上で述べたようなことを言うのは、別に私のようなオタクではなく、普通に営業のおじさんだったりします。私のところに用事で電話をかけてきて、「やっぱりPHSだと音きれいだね、携帯に慣れると・・・」というような人も多い訳です。ただ、共通して言えるのは、やっぱり「それなりに分かっている人」って事ですね。仕事柄、PDCだWCDMAだという話が多い訳で、そういう事に浸かっちゃっている人は、やはりPHSを評価していることが多いです。そういうわけで、私のいるような業界では、PHSを持つことはある種のステータス、「PHSを使える環境にある」事はある意味羨ましがられることだったりします。

◇現に、私の今いる職場、ドコモ関係の開発チームですが、メンバー7人中3人がDポユーザ。1人がドコモ、1人がauで、2人は携帯無し。通信のことをまじめに勉強し、仕事にしているような人、こんな人が携帯を選ぶと、4割強はDポ、3割弱は携帯なんていらなーい、1割強はドコモ、残り1割強はauになるということになります(ただし、内一人はかなりやばいDポファンらしいですねぇ・・・;自爆)。ま、これは統計的には余り意味のない数字ではありますが、事業部レベルの連絡リスト(数百人)を見ても、070の比率は世の中のそれに比べればかなり高いです。

◇でもここで、「やっぱり通はPHSだね!」なんて言い方をする訳ではないんですね。この「通はPHS」という言い方は、先ほども出てきた、オタク的な歪んだステータスそのものです。そうではなく、PHSの品質と特徴をきちんと理解した上で、それを使うことの出来る環境を持てること、これにステータスを感じているだけであって、決して携帯ユーザを見下さず、田舎でPHSを使えない人も馬鹿にしない、ただ、それを享受できることに価値を感じる、それだけなんですよ。

◇そして、ここをお読みの皆さんにも、こういうステータス感を持っていらっしゃる方が多かろうと推測させていただきます。逆に、携帯ユーザの方でも、「PHSが良いのは分かってる、でも、いつも行くxxがエリアじゃないから・・・」と残念がっている人もいるかと思います。

◇そのステータス感を、取りあえず大事にしていただけると、今後のPHSの地位向上にとっては良いあんばいだったりします。重要なのは、冷静に、客観的に。卑下せず卑屈にならず。ただ、自分で「良い!」と思えるPHSというものを使える喜びに気づく、これだけで良いんですよ。(私のように)PHSに対する偏見にむやみに反発するよりは、よほど健康的です。人に番号を教えて、「えっ、PHSなの!?」と聞き返されたら、「いいじゃん、音もきれいでエリアもそんなに狭くないし」とやり返すのではなくて、「へへ、いいでしょ♪」と返せちゃうぐらいのゆとりあるステータス感を持っているのが、良い感じじゃないのかな~と思っていたりします。

◇そういうわけで、今回のコラムは、妙にPHSであることに理由付けをしすぎて卑屈になっている自分自身に対する自戒的コラムでもあったりしたのでした(ガビーン)。



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