AirH”Phoneはどこへ行く?


◇さてさて、DDIポケットが鳴り物入り(?)で世に放った新サービス、AirH”Phoneですが、今回は、その狙いを考えつつ、これが今後どうなってしまうのかをなんとなく考えてみるお話。まぁこのコラムには珍しい未来予想系コラムとなる訳ですが。

◇AirH”Phoneがどういう経緯でリリースされたのかは、もはや皆さんご存知の通り。蛇足とは分かっていつつ、そのサービスを一度見直しておきましょう。AirH”Phoneは、端末にWEBブラウザと、オープンなPOPアクセス機能を搭載し、限りなくインターネット標準のサービスにシームレスにアクセスすることが出来ます。そして、それはそのまま企業イントラネットに対しても言える訳で、最終的な狙いは、企業イントラネットを手軽に外に持ち出す、そういった需要に対するソリューションとしての狙いがあると思われます。そして、それに加えて、AirH”で実現された非常に安い通信料金、これをAirH”Phoneの大きな特徴の一つとして、企業ユーザにとどまらず、メール・WEBの一般ユーザをもターゲットとしています。

◇そのAirH”Phoneのもっとも大きなサービス転換点は、すべての料金コースに対してパケット方式を開放し、また、専用にパケット対応のインターネットゲートウェイを立ち上げたこと、だと思われます。いやね、分かるんですよ、「違うだろ、ブラウザとオープンPOPメール対応、それにメール・WEB放題、これがAirH”Phoneだろ?」と言う意見が大半だということは。でもね、私はこれを心情的に認めたくないところがあるんです。

◇で、ここで、ブラウザとPOPメール、これがどーしてAirH”Phoneのサービスとは言えないのか、ということになるんですが、そもそも、ブラウザとPOPメールアクセスを以ってAirH”Phoneを定義するのはおかしくないですか?。いやね、私は、端末の機能でサービスを定義するのは嫌いなんですよ。通信事業者はあくまで伝送路を売る、これが基本であって、端末を売る訳じゃないんです。ですから、ブラウザとメールに関して言うなら、パケット対応アクセスポイントClubAirH”に、ブラウザ搭載端末を見越したゲートウェイサーバを設けたこと、これがAirH”Phoneサービスにおけるブラウザ関係の本質であり、端末にブラウザを搭載するか否かは問題ではないと考える訳です。古い例を挙げれば、H”という新サービス、これは、たとえば端末がPIAFS2.1に対応したことではなく、ネットワークがPIAFS2.1を提供し始めたこと、と定義される方がより自然だなぁ、と感じる訳です。

◇同じように、新しいサービス、といったときに、その料金制度でそれを定義することも嫌いです。ぶっちゃけメール・WEB放題の話なんですが、確かに、サービスの対価として料金を払う、という前提がある以上、サービスと料金は切り離せません。しかし、ここですでに言っちゃったように、料金はあくまでサービスの対価に過ぎない訳で、サービスそのものでは有り得ないということなんです。たとえば、AirH”、これは、定額・準定額の料金コースを実現したサービス、ではなく、コストを大幅に削減することの出来るパケット方式を利用できるサービス、と定義したいというのが私の心情であったりします。

◇そういう事で、もう一度AirH”Phoneを見直してみると、ほら、残ったのは、パケット開放とCLubAirH”だけですよね。

◇しかし、Dポはここにきて、「ブラウザ搭載とオープンPOPアクセス、パケット方式によるメール・WEB放題が利用でき、複雑といわれてきた従来のH”LINKとDXメール、これを廃して簡素化を図ったサービス、これを以ってAirH”Phoneとする」と言っています。そう、残念ながら、私の考える「新サービス」ではないんです、AirH”Phoneは。せいぜい「新構想端末群」としか言えない訳です。そして、こうやって考えていると、否応にも思い出してしまうことがあります。

◇それが、feelH”です。feelH”の定義も「256色以上のカラー液晶と12和音PCM音源feelSound、外部カメラユニットTrevaへの対応、これを以ってfeelH”とする」というものでした。そう、feelH”は、私が何度も言ってきたように、サービスの進化ではなく、端末の進化でしかなかった訳です。せいぜい挙げるとすれば、SoundMarketの立ち上げでしょうか、ただ、このSoundMarketも、事実上feelH”とは切り離されています。なぜなら、SoundMarket未対応にも関わらずfeelH”と呼ばれた端末達が存在しますから・・・(KX-HS100やDL-M10など)。そしてfeelH”に付きまとうのは、「失敗」のイメージしかありません。まさに社運を賭ける勢いでプロモーションを行い、突っ走りに走ったfeelH”、それが、開けてみてびっくりの大失敗に終わっています。feelH”が失敗したのは、端末の機能を絶対の価値とし、それを差別化ポイントとして利用しようとしたところです。しかし、端末の性能の面では瞬く間に携帯に追い越され引き離され、結局見るも無残な惨敗となった訳です。

◇そして、私の見る限り、AirH”Phoneは、feelH”と同じ轍を踏もうとしています。

◇通信事業者が、他の事業者と差別化するために必要なのは何でしょうか?。それは、ネットワークでしか有り得ません。今更とも思われる例を挙げさせてもらえば、Jフォンが写メールで一世を風靡したとき、ドコモとauは何をしたでしょうか?。すぐに同じ機能の端末を投入しましたよね?。確かに、ドコモはネットワークの不備のために多少遅れは取りましたが、結局、追いつき追い越してしまいました。この原因は、写メールが、所詮端末の機能でしかなかったからです。しかし一方、これもベタな例ですが、DポがAirH”を出したとき、ドコモは何も出来ませんでした。それは、全くのネットワークの拡張サービスであったからです。ドコモは結局、同じ定額サービスを出すのに2年もの時間を費やしています。通信事業者は、ネットワークサービスで勝負をしなければならない訳です。それが出来なければ、feelH”のような失敗が待っています。

◇そこでもう一度AirH”Phoneを見直してみると、全コースへのパケット開放とパケット対応インターネットゲートウェイ。これがネットワークサービスの新しい部分です。実に4年も前に、iモードにより実現されています。つまり、この二点は、新サービスと呼べるほどの部分ではない訳です。この事から、私は残念ながらも、AirH”Phoneは確実に失敗に終わると予言させていただきます。

◇端末の機能にしても、ブラウザもPOPもとうの昔に実現されています。ヒットするならその当時にヒットしたはずです。料金面についても、メール・WEBの定額化はAirH”によりとっくに実現されています。これらの特徴は、AirH”+PDAでモバイルしていた人々にとっては、何の意味も成さないんです。私的狭義の「新サービス」でないだけで失敗はほぼ確定のところへ、端末性能・料金制度の面でも何も訴えるものを見出せないと私は感じてしまいます。

◇AirH”Phoneが成功する鍵がどこにあるのか、それは、やはりネットワークサービスに依らなければなりません。その点では、AirH”Phoneには大きな可能性が実は見えていたんです。すなわち、これまで実現できなかった、すべてのDDIポケットによるサービスの融合、これが、AirH”Phoneで可能となる可能性があった訳です。これ一台で、Dポのサービスがすべて利用できるという、究極の端末、これが、AirH”Phoneの有るべき姿だったのでは、と私は思う訳です。そう思うにつけ、簡素化を理由に数々のサービスを未対応としてしまった事は非常に残念といわざるを得ません。たとえば、feelH”では失敗に終わったSoundMarket、これと、AirH”の融合は大きな可能性をはらんでいます。何せ、通信料が無料なんですから。これまで、SoundMarketを敬遠してきた多くの人は、高すぎる通信料が足かせとなっていたのではないでしょうか。一方のドコモは、定額通信@FreeDのM-stage対応を明言しています。純粋に情報料だけでコンテンツを得る、これが出来るかできないかでは雲泥の差です。

◇ということで、現状のように「端末の機能と料金」ばかりでAirH”Phoneをプロモートしている状態では、いずれガタが来るのは必定でしょう。そうではなく、サービスとしてのAirH”Phone、すなわち、本当の意味での従来の音声サービス群とAirH”サービス群の融合形としてのAirH”Phoneを今後打ち出していくとするなら、明るい未来が見えてきます。まだまだ、第1弾であるAH-J300xVは、HV200のレベルからの脱却を果たせていません。つまり、HV200では音声サービスがメインだったのに対し、J300xVはAirH”が主体になっているだけで、音声とAirH”が単に同じ端末に入っているだけのチグハグな状態は同じです。この端末の機能を持ってAirH”Phoneを完結させるのではなく、たとえば今後、AirH”Phoneという枠組みの中でH”LINKや直送メール(など、今回未対応とされたサービス群)に対応できるような端末が出ることで、AirH”Phoneというサービスが単なるAirH”+PDAじゃないという事が証明され、DDIポケットの持つ非常に優秀なネットワークの真価が発揮されると思う訳です。

◇いや、私は、AirH”Phoneが、本当に単なるAirH”+PDAではないと信じているからこそ、ここまで辛辣に言わせていただいている訳です。ですよね、DDIポケットさん?。



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