H”のメールは複雑か?


◇さて、このコラムを書き始めるに当たって、とりあえずお断り。このコラムに書かれている内容は2003年01月現在の、DDIポケットによるメールサービスを元にしていますので、読んでいる時点での状況に合致しないかもしれませんが、ご容赦ください。

◇ということで、前置き(の前置き?)も終わったところで、今回の本題、それは、H”のメールシステム。いろいろな場所で常に指摘されることですが、H”のメールシステムは非常に複雑です。ここでざっとH”のメールの種類を上げてみると、まず初代のPメール、それから直送メール、Eメール、チャットメール、ライトメール、ライトEメール、エッジeメールと、ざっと7種類もあります。もっと細かく分類すればいくらでも種類は増やせますが(メーカ独自のメールもありますし・・・京セラのペチャメールなど)、大体こんなものでしょう。これだけあると、初めてH”を使う人にはいったいどういう場面でどのメールを使えばいいのか、どのオプションとどの機種の組み合わせでどのメールが使えるのか、これらを把握するだけで大変な労力です。なぜにDポはこんなにたくさんのメールシステムを持っているのでしょうか。

◇その理由の一つとして、DDIポケットのメールが、順を追って成長してきたため、その段階にあったものがそれぞれ別の名になっているという説明ができます。20文字半角が伝えられるPメールから、32kPIAFS通信を利用した直送メールとチャットメール、及び、センター送受信システムから発展したEメール、Pメールをそのまま拡張したようなシステムのライトメール(よって最近はPメールとライトメールは同じカテゴリーに入れられています)、ライトメール技術をセンター通信向けに応用したライトEメール、32kパケット方式を応用したエッジeメールというように、それぞれの名称のメールが、それぞれ順次追加されてきたものであり、また、お互いにシステム的に全く異なるものであったことから、そのままで残されているのでしょう。ただ、システム的に異なるもの、と言ってしまったので、ここで整理しておきたいのですが、これらは大きく5つにまで整理できます。まず、ライトメールとPメールは基本的に非常に近いシステムなので、これをここでライトメールとまとめておきます。また、直送メールとチャットメールは基本的に同じ(単に継続通信ができるかできないか)であるので、これも直送メールとまとめておきましょう。こうやってみると、DDIポケットのメールは実は5種類、直送メールとEメール、ライトメールとライトEメール、そしてエッジeメールにまとめることができます。

◇と、ここまで読んで、おや、今回はひょっとするとあれこれ理屈を付けてメールを一種類だけにしちゃおう、というお話かな~、なんて思ったあなた、残念!(笑)。いや、確かに、DDIポケット愛好者の中には、そういうことを言う人がたくさんいます。極論、エッジeメールだけでいいんじゃないの?という考え方の人もいるようですが、今回のコラムはむしろそういう流れに危機感(大げさ)を感じたから書いているようなものです。そう、私が今回言いたいことは、これらのメールシステムがそれぞれに必要であり、どれ一つとして欠くことができないものだよ、ということが言いたいわけなんですね。そしてどうやらここまでが前置きのようです(ナニー!?)。

◇さてそれでは、いろんなシーンごとに、どのメールが活躍するか、実例から見ていってみましょう。ここからはある架空の人物A氏にご登場いただき、彼の一日の生活を通してそれぞれのメールの使い方を追ってみます。まず朝起きたら、彼のガールフレンドに「おはよう、今日もがんばろう」のライトメール。すると、間髪を置かずに「おはよう」の返事。二人の朝はだいたいこの一往復で始まります。ライトメールは必ず即時着信ですから、送ったときが届いたとき、つまり、お互いにお互いの生活リズムを共有することができるわけです。手早く準備を整えると、A氏は出勤です。彼の勤め先はあるメーカの郊外の研究所、職場内ではDDIポケットの電波はそれほど強くないのですが、メールに関しては問題なし。彼はライトEメールを使っているため、Eメールについては強力な制御メッセージ電波でプッシュ配信してくれますから、大切なメールを見逃すことはありません。そうしていると、電話がメールを着信したことを知らせます。件名と本文の頭部分を読んでみると、どうやら営業から緊急のメールのようです(彼は営業との連絡専用メールアドレスからH”に転送をかけているのです)。問題発生につき顧客サイトに緊急集合のようです。早速、彼はPCでそのメールを取り込んで読んでみると、集合場所はすぐ近所のようですので、早速向かいます。向かう途中で再びライトEメールが届いたため、今度はEメールで受信してみると、集合場所の急遽変更とのこと。危ないところで行き先を変え、無事対応も済ませて職場に戻るともう休憩時間です。今日はガールフレンドとデートの日。休憩時間を利用して、待ち合わせ場所の地図を調べて取り込むと、それをメッセージとともにガールフレンドに直送メールで送ります。画像をつけても長文になっても相手には負担させない直送メールなら、相手の都合をいちいち考えなくても思い立ったときに使えて重宝します。それからまもなくライトEメールが着信、ガールフレンドから、1時間遅れるという連絡です。ライトメールが届きにくい場所なら、ライトEメールを使えば、センターが何度でも再送してくれるので、大切な用件を伝え損なうことはありません。そして定時となり、帰り支度を整えて待ち合わせ場所に向かいます。お互いにこまめにライトメールで現在地を伝えあいます。マナーの問題で通話できない電車内で、リアルタイムのやりとりをするのにはライトメールが一番です。少し先に着いたA氏は、駅前の喫茶店でコーヒーを飲みながらガールフレンドを待ちます。すると、「あと一駅」というライトメール。ライトメールなら、今この瞬間にガールフレンドが一駅手前にいることは確実ですから、A氏はゆっくりと精算を終え、改札口に向かうと、ちょうど階段を下りてきたガールフレンドと目が合いました。久々のデートは楽しくなりそうですね。

◇と、「現実のモデルは誰だ?」なんて言う微妙なツッコミは無視しつつ、こうやって見ると、それぞれのメールがそれぞれの特長をうまく生かされて使われているのがわかりますね。なんと言っても利用頻度が高いのはライトメール。リアルタイム・送信者のみ負担という利点は、遠くにいる人とのリズムの共有に使えます。次によく使うのがライトEメール。H”以外の送信者からのメールはEメールにならざるを得ませんが、制御メッセージで強力にプッシュ配信してくれるライトEメールなら、(Eメールと違って)自動受信失敗がなかろうかと神経を使う必要もありません。ライトEメールで内容を確かめ、全文が必要だと判断すれば普通のEメールで受信です。もちろん、送信するとき添付ファイルがあったり長文だったりするときもこちらですね。直送メールは、主に添付ファイルをH”ユーザ相手に安価に、相手に負担をかけずに送信したいときに便利です。

◇こうやってそれぞれを見ていってみると、どうやらDDIポケットのメールシステムの概要がシステマチックに掴めてくるのではないでしょうか?まず、メールの送受信方法については、制御メッセージを使った配信と、PIAFSを使った配信。次に、送受信相手としては、H”LINKセンタか、H”ユーザか。この条件の組み合わせが、2x2=4通りありますが、この4通りがライトEメールの登場ですべて出そろったわけです。つまり、送受信方法と通信相手の条件を見ると、ライトメール、ライトEメール、直送メール、Eメールどれをとっても必要不可欠であることがわかるかと思います。

◇私自身、4種類のメールはふだんの生活で結構使い分けています。その中でも特に役立っているのが、やはりライトEメールです。なんと言ってもプッシュ配信。昔は、Eメール自動受信にしていても、電波の悪い場所にいるときは送受信に失敗(最初の回線確立に失敗しているらしい)して、届かないまま、画面にひっそりと「センターにEメールがあります」の文字がずっと出たままだったこともあります。自動受信では次のメールが届くまで再受信してくれませんから、それが緊急のメールだったりすると非常に困ったことになります。これが、ライトEメールの登場で、少々電波が悪くても制御メッセージに乗せて強引に押し込んでくれる上、もし失敗しても最低15分後にはリトライがありますから、タイムラグは最小限。このシステムは是非存続してもらいたいものです。

◇と、いろいろ言いつつ、一つだけ言及していないものがあることにお気づきですね。そう、エッジeメールです。もちろん、将来まで考えてのエッジeメールの正しい定義は微妙ですが、32kパケットを使ったEメールと考えてもいいでしょう。このメールの位置づけはどこなのでしょうか?実は、上に述べた4つに比べて、取り立ててここがすばらしい、という特長がないというのが私の感想です。確かに、パケットは制御メッセージに近いしくみを使うので強力ですが、とはいえ、回線の確立時には端末から「回線確立OKです」という信号が基地局に通らなければなりませんから、環境のよくない場所ではこれが通らずに回線確立に失敗するかもしれません。長文のメールや添付ファイルもやりとりできるとはいえ、それなら通常のEメールなら64kでストレスなく送信できますし、相手がH”なら直送の方が送った時点で受信保証ですから、便利です。つまり、すべての特徴をちょっとずつ取り入れつつ、これと言った傑出した部分がない、これがエッジeメールに対する私の評価です。

◇しかし、まぁ、言うまでもないことですが、エッジeメールの一番の御利益は、なんと言っても「使い放題」に対応しているということでしょうね。たとえば、すべてのH”ユーザがエッジeメール放題に加入すれば、直送メールを置き換えることは可能なわけです。とはいえすべての人が月額料金700円を負担するというのも無理な話ですし、受信に無駄に料金を使いたくないという人も(H”ユーザには)たくさんいるわけですから、直送系が廃れることはないでしょう。一方、私のように、ライトEメールの強力な配信力を捨てがたいと言う人もいるでしょうから、結局エッジeメールはどれの代替にもならない(強いて言えばEメールの置き換えにはなると思いますが、64kが32kパケットに落ちるのを好ましく思わない人もいるでしょう)と考えられるわけです。

◇ということで、一部で、「H”のメールは複雑だ、すべてエッジeメールにまとめてしまえばみんなハッピー」みたいなことがささやかれるDDIポケットのメールシステム、しかし、私としては、どの種別のメールも必要不可欠であり、できれば、縮小とか廃止とか、端末からの機能除去による事実上の廃止などにはなってほしくないなぁ、と思って、こういうコラムを書いてみたりしたのでした。




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