インテリジェントな基地局について考える


◇こんなタイトルで書き始めようってからには、まず最初にお断りしておかなければならないことがあります。それは、はっきり言って私は基地局に関する知識は全くなく、ほとんどがあやふやな情報や個人的な憶測でDポ基地局について考えているということです。この辺にご注意願いたいのですが、まぁ、元々このコラム「でぃーぽ」のコンセプトは、「なんの役にも立たない私のヨタ話を聞かせる」というもの、このコラムの内容についてはあまり真に受けないでくださいね。

◇ということで、意味もなく「インテリジェントな基地局について」なんて言うお話にしようと思ったのですが、なにを書けばいいのやら今更ながらネタのなさにびっくりしています(笑)。しかしここで終わっては男が廃る(?)、とにもかくにも、雀の涙ほどの知識を搾ってネタをふくらませてみましょう(ここまでが前置き;笑)。

◇DDIポケットの基地局、みなさんは見たことがありますか?私はないです。ウソです、ごめんなさい、最近意味もなく斜め45度上方を見て歩くことが多いです(苦笑)。で、もしよく見ることがあって、なおかつNTTPHSとかアステルPHSの基地局と区別をつけることができるなら、お気づきだと思いますが、Dポ基地局はやけに立派な箱に入っていることがわかると思います。特に初期の頃に設置された基地局は「重箱」と呼び慣わされるほど大きな2段箱に入れられています。どうしてこんなに大きいのでしょうか。おそらく答えは、「大きな送信出力と高度な受信処理のため」だと思われます。確かに無線関連部品は携帯電話の普及につれてどんどん小さくなっています。しかしながら、全く性能を変えずに小さくすることは事実上不可能です。小さくするには必ずどこかにしわ寄せがくるものですから、それだけ設計は難しくなり、条件によって最高の性能を出せないようなものにもなってしまいます。一方、大きさを気にせず、無線回線をゆったりと設計できるなら、かなり高性能なものが十分作れるという訳です。

◇そういうわけで、Dポ基地局は性能最重視で設計され、重さの合計が100kgを超えるような大物になってしまっています。そして、これだけゆったりと設計し、大きさを気にせずにいろんな部品を使えるとなると、そんな中にもっといろんなものを詰め込んでみたくなります。そう、そこに、ソフトウェア的にいろんな通信方式を実現できるようなあるものが採用されて、Dポ基地局はインテリジェントになっているのではないかと考えるわけです。

◇そういうものの一つとしては、当然フラッシュメモリ+汎用CPUというものが考えられるでしょう。が、通信方式の変更などで必要となってくるもっと高速で根本的な信号処理の部分などをCPUで行ってしまうのにはいささか無理があるというもの。そこで出てくるのが「プログラマブルIC」と呼ばれるものです。これはどういうものかというと、語弊をおそれず簡単に説明するなら、ICの中の回路をソフトウェア的に書き換えることのできるという優れもの。これにもいろんな種類のものがありますが、当然ながら、こんな便利なものですからそれなりの面積を専有してしまいます。もちろんDポ基地局程度の規模のものになってしまうと結構な大きさと数が必要でしょう。実は私も仕事でこの部品を使った機械の設計に多少関わっていたりするんですが、年々小型で集積度の高いものができていますが、それでも実物を見ると、周囲の(固定機能ではあるがほぼ同等の機能を持つ)超小型IC類と比べるとあきれるほど大きな部品だったりします。

◇しかし、Dポ(とその基地局メーカ)はあえてこれを選び、基地局が巨大化してしまうことを覚悟で作り上げてしまいました。ここにはいくつか事情があると思われます。まず、基地局設置のための空間インフラを持たなかったDポ(及び当時のDDI)は、NTTPやアステルのようにいくらでも数でエリアを稼げたわけではないため、とにかく数は少ないなれど一つ一つは超高性能な基地局で広さを稼ぐ、という方法を採らざるを得なかったわけです。すると、基地局1基の値段は跳ね上がります。こんな高級基地局なのに、当時開発中だった様々な通信方式が認可・運用される度に換装しなければならないとなると、これはコスト的に非常に苦しくなります。だったら、とりあえず将来的に実用化されうる通信方式については上記のような方法で、ソフトウェア的に対応できるような形にしておこう、という話になるのは当然といえば当然だったかもしれません。

◇そして、その恩恵として、とりあえず処理能力の許す限りどんな通信方式も対応可能という、インテリジェントな基地局が誕生したのでした。実際、PHSのプロトコル自体はそれほど複雑ではないため、それを拡張していってもそこそこのレベルまでは対応できると考えられます。たとえば、一番最初にインテリジェント基地局を設計した段階では将来的には64kまで見えていたでしょうから、64kが処理できる程度の能力は最低限持たせていたでしょう。これが、やや複雑な制御を必要とするパケット方式でも32k程度なら余裕で受け入れられた理由かと思われます。また、その後に改めて設計された新型基地局ではさらに処理能力は高く、パケットの64kや128kなどを処理するだけのキャパシティがあるのでしょう。現在、パケット64kに対応している基地局はこう言った基地局などであろうと思われます。

◇しかし、いくら基地局がインテリジェントに対応可能なものでも、一つ問題があります。それは、サービスを利用する側、特に最新のサービスを利用するユーザ、これらの人もある程度そういった部分を理解できなければならないと言うことです。ぶっちゃけていうと、端末のファームウェアのアップデートなどの、基地局のバージョンアップに対して端末側で必要になる処理についての理解が得られるか、という部分です。実際、私も一度そういったお知らせを受け取ったことがあります。この部分で理解できない人も世の中には多いかもしれません。「新しい機能が始まるからこの端末を修理?そんなの使わないからかんけーないんじゃないの??」

◇ではそろそろ本コラムの核心をしゃべってしまいましょう。すなわち、インテリジェント基地局は、ユーザにインテリジェント性を求める、ということなのです。そう、インテリジェントなシステムアップデート、といった場合、基地局だけでなく、端末もそれを使うユーザもインテリジェントである必要があると言うことです。

◇さすがにもうないとは思いますが、128kサービスの高速化のための施策として1局64k対応が行われていますが、これに対応していないファームウェアを積んだAH-G10は、32kでしか通信できなくなっています。これについてはDポHPを見れば重要なお知らせとして載っているのですが、そういった部分で積極的に情報収集をするようなインテリジェントなユーザをDポはそもそも想定しています。もし、このファームウェアアップデートがなぜ必要なのかを理解してもらえなかったら、ユーザは不便を強いられ、顧客満足が大幅に低下してしまうでしょう。この辺は、ある意味インテリジェントな基地局を使っているための弊害ともいえます。インテリジェントでなければ、(ドコモPHSの64kのように)従来の基地局を残したまま、最新基地局を重ねるように設置していくことになるため、当分は端末側で対応しなくてもやっていけるからです。

◇Dポはそんな昔から、PHSがインテリジェントなユーザの持ち物だと想定していたのか?いえ、そんなはずはありません。当時の投げ売りはどんな層をも対象にしていました。ではなぜか?それははっきりとは言えませんが、逆なのではないでしょうか。つまり、「データ通信を主に利用するインテリジェントなユーザ層の割合が増えてきた(または増やす予定である)」ために、インテリジェント基地局を生かしたユーザのインテリジェント性を必要とする思い切ったサービス(つまりAirH”)を打ち出してきたのではないかと私は考えるわけです。Dポはユーザのインテリジェンスに期待したのです。しかし、本当に十分にインテリジェントなユーザはいるのだろうか?という疑問ももちろんあったでしょう。

◇果たして、今日本には何十万というAirH”ユーザがいます。少なくともこれだけは、インテリジェントなシステム改善を許容してくれるユーザがいると言うことです。もちろん、この中にはDポがインテリジェントなシステムを持っていると知らない人が数多くいるでしょうが、少なくともより優れたシステムへの変革にひつようなユーザ側の寄与について理解できる人が大部分を占めるのではないかと私は考えるわけです。

◇というわけで、今回は徹底的にインテリジェントな基地局について考え、そのシステムを利用するユーザに求められるものまでをみてきたわけですが、しかし、Dポがユーザを選んでいると言うわけでは決してないわけです。あくまで選ぶのはユーザであるわけです。しかし裏を返せばDポのシステムやサービスは結局「選べるユーザ」と選り分けているともとることができるわけで、選べるユーザ=インテリジェントなユーザ・・・ということは、やっぱりDポはインテリジェントなユーザを選んでいるのかも・・・と、卵と鶏みたいな議論にはまりそうになる前に、インテリジェント基地局についてのコラム、これにて終わりにしたいと思います。




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