奴等に勝てるのは誰だ!?~唯一その味を知るのは・・・


◇さて、いきなり意味不明のタイトルで始まっちゃって訳が分からないかもしれないですね。奴等、とは、まあ、ここでは実名で言っちゃっていいでしょう、天下のNTTグループのことです。そう、今通信の世界でNTTに勝てる会社など本当にあるのか?というのが今回のお題。

◇NTTグループ、今更説明の余地はないでしょうが、元の名は「日本電信電話公社」、その後民営化でNTTになり、さらに分割が行われ、現在、そのグループ企業でキャリアとして存在するのは、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモです。あれ、他にあったかな?うーん、多分ない。思い出したら書き足します。ともかく、今の日本の通信はおおむねこの4社に押さえられてしまっているわけです。つまり、市内通話においては東西NTTのシェアは圧倒的ですし、市外電話についても、健闘するかと思われていたKDDI、日本テレコムなどNCC系キャリアを抑えてNTTコミュニケーションズがトップシェアを奪取しました。そしてNTTドコモはそのシェアも大変なものながら、その収益にいたっては競合他社を圧倒的に上回るものです。このように、今の日本の通信業界はまずNTTありき、そして、他大勢がいる、という感じでしょう。

◇しかし、NCC系キャリアも、相手がNTTだから、と指をくわえているわけではありません。特に、これまでNTTが苦手としていた市外電話では、圧倒的な安さやオプションを用意して真っ向から対決を始めました。それが「マイライン戦争」として吹き出した2001年度、結局軍配はNTTコミュニケーションズに上がりました。何とも情けない話です。

◇携帯事業でも、KDDI、JフォンはNTTにない付加価値や、低料金を武器に、やはりNTTドコモに対して殴り合いを仕掛けました。ところが、いくらやっても差は縮まらず。KDDIとJフォンでお互いのシェアを食い合っただけで終わりそうな様相を呈しています。もはや何をやってもNTTグループに対しては焼け石に水状態。いったい誰が勝てるというんでしょうか?

◇なぜ、勝てないのか、ちょっと考えてみましょう。たとえば、圧倒的に安い市外通話料金を持ち出してきたとき。元々安い市外通話料金に加え、各陣営は半額になるオプションを加えてNTTを攻め立て始めました。もちろん、かなりの数の人がKDDIや日本テレコムなどに流れていったことでしょう。ですが、なぜか、結局シェアはNTTコミュニケーションズの圧勝。その時のNTTコミュニケーションズのTVCMのキャッチフレーズを未だに覚えています。「市外通話もNTTコミュニケーションズで安心」。何か引っかかるんですよ、このキャッチフレーズ。

◇携帯電話事業にしてもそうです。昨年あたりから顕著になってきた「ドコモにない付加価値」でのドコモに対する挑戦。これらの戦略は結局功を奏することなく現在にまで至っています。さて、そんな時にNTTドコモのTVCMでやっぱり印象に残ったキャッチフレーズがあります。「毎日使うものだから、やっぱりNTTドコモ」。うぅ、これも非常に気になる・・・。

◇何がそんなに引っかかるのか、これらのキャッチフレーズをちょっと分析。まず、一つ目。「市外通話もNTTコミュニケーションズで安心」。さて、まず、「安心」という言葉。なんて怪しい言葉なんでしょう。何を持って安心なんだ!?他社はきちんと数字を出して公正な広告をしているのに、「安心」の一言でうやむやにしてしまっているそのあやしさ。そして、もう一つは、「市外通話も」の「も」。この「も」はその直後の「NTTコミュニケーションズ」、もっと限定すれば「NTT」にかかっていることはもうお気づきでしょう。ここで「安心」の意味が分かってきます。「市外通話も、これまで日本の電話を支えてきたNTTなら安心ですよ」ということなんですよね。違う!!NTTコミュニケーションズは、確かにNTT派生企業だが、ちゃんと分割された別会社です!言ってみれば、うそ、大袈裟、紛らわしい広告の部類に入るわけですよ、このキャッチフレーズは。

◇こうなると、ドコモのキャッチフレーズのおかしな点ももうお分かりでしょう。「毎日使うものだから、やっぱりNTTドコモ」。なにが「やっぱり」なんだ!?そこがわかりません。この言葉は、直後の「NTTドコモ」そして更に限定させてもらうと「NTT」にかかってくるわけです。つまり、NTTを電電公社時代から知っている人にはこう聞こえるわけです、「毎日使うものだから、やっぱりNTT(ドコモ)」。これもまた、NTTという名前を利用した紛らわし広告の一種です。携帯って毎日使うものだから、これまで日本の電話を支えてきたNTTがやっぱり一番良いんですよー、ってことなわけです。

◇こうやって見ると、確かにこう言う半ばサブリミナル的な広告手法もどんなものか、とは思いますが、それよりも、こう言うやり方でころっとだまされる日本人にも問題が有りそうです。そう、再三言いますが、日本人ほどブランドに弱い人種はいません。このブランドなら多少高いけど良いものに違いない、このブランドなら多少サービスは悪くてもいざというとき役に立つはず、このブランドなら多少性能は下でも長持ちするに違いない。日本人はみんなこう言う性向を持っています。上の部分をドコモに当てはめてみましょうか?「多少高くても良いもの」・・・高いだけです。「多少サービスが悪くてもいざというとき」・・・災害時最後まで復旧しないのはドコモです。「多少性能は下でも長持ち(安定)」・・・今サービス中の携帯電話で通話中に一番よく切れる&音質も安定しないのはドコモです。ですが、やっぱり一番売れるのはNTT(ドコモ)。

◇ということで、基本的な日本人の精神構造も手伝ってか、日本の通信はいつまで経っても脱NTTを実現できません。一説では数百パーセントにも上る余剰人員と遊び施設をもつNTTは、それがもし一介の企業であればとっくに倒産していることでしょう。それを支えているのは高い上納金です。日本人がNTTに対して払っているお金はどこへともなく、かすみのかなたへ吸い込まれてしまっているのです。こんな不況時代だからこそ、もっと有効活用すべきお金が、です。

◇と、ここで話を終わらせてしまうのはちと早い。実は、この日本にたった一社だけ、NTTに勝利した経験のある企業があるんです。その会社こそ、われらが(笑)DDIポケット!

◇そう、PHSがサービスインしたとき、NTTも、NTTパーソナルという社名でPHS事業に参入してきたのでした。この時、大方の予想として、従来と同じく、NTTパーソナルが過半数のシェアを確保するだろう、とささやかれていました。ところがふたを開けてみてびっくり。PHSスタート2年後には、DDIポケットは半数にも迫るシェアを獲得していたのです。完全に勝負あり、でした。

◇この勝因は何だったのでしょう?一つは、法律が完全に公平だったこと。NTTを規制する(?)という名目の従来のNTT優遇諸法が、今回のPHSでは存在しなかったことです。それは、PHSに既成利権がなく、NTTを優遇しても政治家としてはおいしくないという部分が効いていたのでしょう。また、それだけにしてもブランドに弱い日本人がなぜ?という部分がありますが、なにより、従来のPHSのコンセプトを無視してでも顧客満足を追求したDDIポケットの姿勢にあったのではないでしょうか。つまり、PHSは本来移動中には使えないし、面的サービスエリアではなくスポット的サービスエリアとする、というコンセプトがあったにもかかわらず、顧客は「廉価版携帯電話」を求めていることを察知したDDIポケットは、システム的に相性の悪い大セル式の基地局でエリア展開を行ったのです。確かに端末のタダ配りなど行き過ぎた販売活動があったことも否めませんが、それでも常に顧客を見てサービスを考えたDDIポケットがお役所仕事的サービスを行うNTTパーソナルに打ち勝ったことは非常に大きく評価できることです。

◇しかし、結局NTTパーソナルは破綻し、NTT系PHSを巨城NTTドコモに追い込んでしまいました。ドコモはDDIポケットに習い(というより真似をして)、大セル式基地局を乱発し、桁違いの赤字(本当に赤字額がDポとドコモPHSでは一桁違います)を出してまでDポに雪辱を果たそうとしています。結局、DDIポケットはサービスプロバイダとしては圧倒的な勝利を収めながら資本主義的競争には惨めに敗れ去っていくことになりそうです。

◇ということで、Dポが敗北への道を歩む今、日本にはNTTグループに一矢報いることの出来る企業はもはや残っていません。ついに動いた世界最強のキャリア、ボーダフォンですが、日本での地盤がまだNTT、KDDIに次いで3位の日本テレコムのみで、なかなかNTTグループの牙城を打ち崩すには程遠いようです。ということで、第二のDポはいったいいつになったら現れるのでしょう・・・?未来はなかなか見えてこない今日このごろです。



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