現在のPHS各社、どーなってるの?


◇現在、PHSサービスを提供している事業者は大きく分けて3つです。ドコモ、DDIポケット、アステルです。今(2001年現在)、これらのPHSサービスは、どーなっちゃってんだろう、と考えてみるのが今回のテーマです。

◇さて、まずは我らが(?)DDIポケット。こちらは、今年の春まで、「インターネットもできる安価で高品質の携帯電話」という感じの売り方で、携帯電話に対して真っ向から殴り合いを仕掛けてきました。その結果、1.圧倒的なエリアの差、2.古いPHSのマイナスイメージ、3.iモードを代表とする強力なコンテンツ攻勢などの理由で惨敗、ユーザ数を大幅に減らしてしまうという失態を演じました。これが大きな転換点となり、この春から、経営方針を大転回しました。それは、事実上の音声端末の開発凍結です。これは、親会社のKDDIによる、音声からデータ通信に重心を移すように、という命令(?)によるものです。端末開発はカード型端末に特化し、常時接続、128kなどの強力なデータ通信サービスで黒字化をねらうようです。また、浮いた端末開発費は、ほとんどをエリア拡充に当て、データ通信に限っては相変わらず携帯電話にケンカを売り続けていくようです。また、一方で、DDIポケットは自社のPHSインフラを貸し出しすることになるようです。貸し出しとはいえ、「ここの基地局はご自由に」などというわけではなく、2001年に始まったパケット交換方式を利用して、従来のDDIポケットユーザと基地局を共有する形で、上位のPHS網をデータ量(帯域)単位で貸し出すというものです。これにより、加入者減少により空疎感のあるPHS網の稼働率を上げることになり、収益の改善が期待されています。今後は、PHS事業者としてではなく、バックボーン・ネットワーク提供者としてのDDIポケットの姿が見られるようになりそうです。

◇次は、アステルです。とはいえ、アステルは地方ごとに別会社で、また、一度転んだときの身請け先がバラバラだったこともあり、それぞれが全く独自のサービスを提供しています。そんなアステルのサービス方針をここで一概に述べてしまうのは大変難しいのですが、おおむね共通した方針のようなものが見受けられます。それは、「光ファイバー事業のラストワンマイルソリューション」としてPHSを利用しようとする動きです。光ファイバーは、FTTHなど、徐々に一般家庭に浸透する動きを見せていますが、あらゆる場所で利用できるようになるには莫大な費用と膨大な年月が必要です。そこで、アステルを身請けした電力会社系通信各社やケイ・オプティコムなどは当面の通信手段としてアステルPHSを活用することに決めました。これに伴い、アステル基地局も従来のものを徐々に光ファイバー引き込み型に置き換えているようです。特に関西のeoエア64は、PHSとしては初の64kbps常時接続環境を提供できるようになり、現在はまだ非常に限られた地域でしか使えませんが、2002年中には従来のアステル関西のエリアの大部分を対応基地局に置き換えていく方針のようです。また、他地方の独自網系アステルも何らかの常時接続サービスをすでに提供しています。今後、アステルPHSはこのように専用線インターネット接続の端末として展開していくことになるようです。

◇最後に、NTTドコモPHS。現在唯一加入者を増やしている事業者です。が、PHS単体での契約はおそらく激減しているものと思われます。ドコモPHSの加入者増加の秘密は、携帯電話との連携です。現在、PHSと携帯電話、両方を手がけているのはドコモのみで、いかにもそれを生かしたサービスを提案しています。その代表格ともいえる、「エリアフリーでモバイルアクセス」のキャッチコピーで売り出し中のトリプレックス&p-inM@sterが現在のドコモPHSの位置づけを象徴しています。これは、一つのカードにPHS端末と携帯電話用モデム(Dopa含む)を押し込んだもので、PHSでは圏外になる場所でも携帯電話が使えるよ、というものです。しかし、これは実は逆の発想で、「携帯電話用モデムだけど、PHSエリア内なら高速通信もできるよ」というのが正しい発想のようです。ファミリー割引は1回線目が携帯である場合のみ有効、という、ドコモの携帯とPHSの関係を見れば明らかなのですが、ドコモはPHSを「携帯電話の補完手段」としてとらえているようです。特に携帯電話の弱いデータ通信(音楽・映像配信含む)や、位置情報コンテンツを格安のPHSに割り当て、全体としてのブランド力アップをねらっているようです。その象徴が、PHSの存在を感じさせない「PHS内蔵携帯モデムカード」というわけです。FOMAが普及してもコストメリットの面でPHSの優位が揺らぐことはあり得ませんから、今後もドコモはPHSを携帯電話の陰に隠しながら使い続けていくことでしょう。

◇さて、ざっと概観してきましたが、ごらんの通り、音声通話端末としてのPHSの未来は実に寒々しいものといわざるを得ません。しかし、ここで強調しておかなければならないことは、「PHSより音声品質の高い携帯端末は(次世代携帯を含めても)全く存在しない」ということなんです。唯一PHSに音声品質で対抗できる(可能性を持っていた)アナログ式携帯電話も停波の憂き目を見ました。PHSも、音声通話のみを見れば、ほぼ同じ道をたどっているようです。これは、ひとえに「回線容量>音声品質」という、世の中の大きな流れからと思われます。事実、次世代携帯も音声品質が高いと言われていますが、実は回線容量が逼迫すると現在のハーフレートPDCよりも低いビットレートに落ちる可能性があります。世の中は、このようにより高圧縮(=低音質)で多回線へとシフトしているようです。これではPHSは消えざるを得ません。

◇PHS各社はこのような動きを読んだのか、ここで紹介したとおり、例外なくデータ通信へと重点を移してきています。PHSでの勝ち組と言われたDDIポケットが最後まで抵抗し、結果惨敗を喫したのは皮肉のようにも感じられますが、結局時代の流れだったということでしょう。

◇という、くらーい感じで終わっちゃいましたが、だからといってPHSが廃れたり、サービスが低下したり、ということはありません。データ通信は音声通話よりもかなりシビアな品質要求を持ちます。そのため、PHSによるデータ通信の需要がある限り、今後もPHSのサービス全体は限りなく向上していくことは間違いないといえるでしょう。


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