次世代PHS完全解説

  1. はじめに

    ウィルコムによる次世代PHSサービス開始が2009年と迫ってきましたが、当ページでは、次世代PHS技術規格書を元に次世代PHSの技術と特徴を徹底的に分析し、ご紹介いたします。

    ※当ページでは、基本的にPHS-MoUグループのWEBサイトにて公開されている次世代PHS規格書(Next Generation PHS Specifications)を元にその技術スペックを予測したものです。実際のサービスにおいては様々なパラメータの設定により技術スペックが変更となる可能性があります。

  2. 次世代PHSの基本スペック

    次世代PHSの基本スペックを一覧表にして紹介します。

      説明
    周波数 次世代PHSが利用する周波数 2.5GHz
    帯域幅 一つの基地局が使う周波数 10MHz
    二重化方式 上りと下りを分離する方式 TDD(時間分割二重化方式)
    多重化方式 複数の利用者(チャンネル)を分離する方式 OFDMA/TDMA(直交周波数分割+時間分割方式)
    セル設計 基地局の配置方式 自律分散
    最大物理速度 物理的な通信速度の最大値 上り29.2Mbps/下り29.2Mbps
    理論スループット 計算上の実スループット 上り18.7Mbps/下り20.4Mbps
    最大通信距離 方式上の理論最大通信距離 15km
    実質通信距離 法令上の電力制限も加味した最大通信距離 現行PHS程度(500m~5km)

    周波数は2.5GHz帯を使用し、法令上は10MHz幅を使うことになります。この場合、最大物理速度は29.2Mbps、制御チャネルを除いた最大速度は26.3Mbps。ただし、これに対してヘッダやコーディングの情報が付与されるため、実際には最大20.4Mbpsのスループットとなることが見込まれます。

    最大通信距離は、TDDの上下の間のガードタイムから単純に計算すると15km。一方、法令で定められた電力から計算すると、10W/10MHzとなり、現世代PHSと同じ帯域幅で見れば300mW/300kHz、これは現世代PHSの送信電力とほとんど同じです。実際は、OFDMによるフェージング耐性強化やコーディング、制御チャンネルへのBPSKの採用、等により、数倍の性能が出せますので、やや低い帯域当たり電力を補っても、最低でも現行PHS並の通信距離を確保できると見込まれます。

    複数の利用者を収容するために使う多重化方式は、OFDMA+TDMAとなります。OFDMAにより10MHzの周波数を9個または10個に分割し、また、TDMAにより上り下りそれぞれ4つに分割することで、利用できる通信ブロックが一つの基地局当たり36個ないし40個作ることができます(これをPRUと言います)。このうち、一つのOFDM分割された周波数は制御チャンネルとして使うので、通信用に使うことができる周波数は8個ないし9個、PRUは合計で32個ないし36個となります。この32個ないし36個を、DCA(動的周波数割り当て)によってチャンネル確立毎に別々に割り当てて使うことにより、同じ周波数帯域を複数の基地局で分け合って使う、と言うことが可能になります。

    また、セル設計は従来のPHSと同じ、自律分散方式です。これは、1個の制御チャンネル周波数をさらに時間方向に数十個に分割し、他の基地局が使っていないタイミングを自律的に発見し使用することで基地局同士で共有する方式です。このため、セル(基地局のエリア)同士が重なってしまっても干渉が発生することがなく、重なった部分では端末側の選択によって自動的にマイクロセル化されます。

  3. 次世代PHSの信号強度とチャンネル速度詳細

    次世代PHSでは、変調方式として、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMの5つがあり、また、それぞれに対して2種類のコーディングレート(エラー訂正の強度)が設定されています。例えば、BPSKにはコーディングレートとして[1/2]と[2/3]があります。コーディングレートの逆数が、エラー訂正の強度となります。ですので、BPSK[1/2]の場合は、エラー訂正無しのBPSKの2倍の信号強度がある(電波が2倍の強度になったのと同じ効果がある)という意味になります。

    具体的な変調方式とコーディングレートの関係は次のようになります。

    変調方式 コーディング bit/symbol
    BPSK 1/2 0.5
    2/3 0.67
    QPSK 1/2 1
    3/4 1.5
    16QAM 1/2 2
    3/4 3
    64QAM 4/6 4
    5/6 5
    256QAM 6/8 6
    7/8 7

    最後の「bit/symbol」は、シンボル一つに対していくつのビットが割り当て可能か、と言う比率です。シンボル数は同じチャンネル構成では同一になりますから、例えばBPSK[1/2]に対して256QAM[7/8]は14倍の通信速度を出せると言う意味になります。

    次世代PHSでは、端末に割り当てるチャンネル数をフレキシブルに変更することができます。また、隣り合ったチャンネル(PRU)を割り当てた場合はPRU連結を使ってガードキャリアなどを省略することが出来、さらに速度が向上します。ここでは、実際にその速度が状況によりどのように変化するのかについての詳細を紹介します。

    まずは、下り(基地局→端末)の速度の組合せ一覧です。

    変調方式 コーディング bit/symbol 1PRU
    (1x1)
    2PRU
    (2x1)
    4PRU
    (4x1)
    8PRU
    (4x2)
    9PRU
    (9x1)
    18PRU
    (9x2)
    36PRU
    (9x4)
    BPSK 1/2 0.5 32.8 kbps 73.6 kbps 155.2 kbps 314.8 kbps 359.2 kbps 722.8 kbps 1.5 Mbps
    2/3 0.67 45.4 kbps 100.1 kbps 209.5 kbps 423.3 kbps 482.8 kbps 970.0 kbps 1.9 Mbps
    QPSK 1/2 1 70.0 kbps 151.6 kbps 314.8 kbps 634.0 kbps 722.8 kbps 1.5 Mbps 2.9 Mbps
    3/4 1.5 107.2 kbps 229.6 kbps 474.4 kbps 953.2 kbps 1.1 Mbps 2.2 Mbps 4.4 Mbps
    16QAM 1/2 2 144.4 kbps 307.6 kbps 634.0 kbps 1.3 Mbps 1.5 Mbps 2.9 Mbps 5.8 Mbps
    3/4 3 218.8 kbps 463.6 kbps 953.2 kbps 1.9 Mbps 2.2 Mbps 4.4 Mbps 8.7 Mbps
    64QAM 4/6 4 293.2 kbps 619.6 kbps 1.3 Mbps 2.5 Mbps 2.9 Mbps 5.8 Mbps 11.6 Mbps
    5/6 5 367.6 kbps 775.6 kbps 1.6 Mbps 3.2 Mbps 3.6 Mbps 7.3 Mbps 14.5 Mbps
    256QAM 6/8 6 442.0 kbps 931.6 kbps 1.9 Mbps 3.8 Mbps 4.4 Mbps 8.7 Mbps 17.4 Mbps
    7/8 7 516.4 kbps 1.1 Mbps 2.2 Mbps 4.5 Mbps 5.1 Mbps 10.2 Mbps 20.4 Mbps

    最大限のPRU(36個)を使った場合、最大20.4Mbpsが出ます。実用上もっとも使用されることが多いであろうと思われる、64QAMだと大体15Mbps。このくらいが、実際使用しているときには体感可能なピーク速度になるでしょう。また、通信が継続さえしていれば、最低でも32kbpsは確保されます。この速度はもっとも古い時代のAIR-EDGEと同程度です。一般的なテキスト中心のWEBサイトの閲覧や、コマンドベースの遠隔操作などだったら十分な速度です。

    次に、上り(端末→基地局)の速度の組合せ一覧です。

    変調方式 コーディング bit/symbol 1PRU
    (1x1)
    2PRU
    (2x1)
    4PRU
    (4x1)
    8PRU
    (4x2)
    9PRU
    (9x1)
    18PRU
    (9x2)
    36PRU
    (9x4)
    BPSK 1/2 0.5 32.8 kbps 70.0 kbps 144.4 kbps 293.2 kbps 330.4 kbps 665.2 kbps 1.3 Mbps
    2/3 0.67 45.4 kbps 95.3 kbps 195.0 kbps 394.4 kbps 444.2 kbps 892.9 kbps 1.8 Mbps
    QPSK 1/2 1 70.0 kbps 144.4 kbps 293.2 kbps 590.8 kbps 665.2 kbps 1.3 Mbps 2.7 Mbps
    3/4 1.5 107.2 kbps 218.8 kbps 442.0 kbps 888.4 kbps 1.0 Mbps 2.0 Mbps 4.0 Mbps
    16QAM 1/2 2 144.4 kbps 293.2 kbps 590.8 kbps 1.2 Mbps 1.3 Mbps 2.7 Mbps 5.4 Mbps
    3/4 3 218.8 kbps 442.0 kbps 888.4 kbps 1.8 Mbps 2.0 Mbps 4.0 Mbps 8.0 Mbps
    64QAM 4/6 4 293.2 kbps 590.8 kbps 1.2 Mbps 2.4 Mbps 2.7 Mbps 5.4 Mbps 10.7 Mbps
    5/6 5 367.6 kbps 739.6 kbps 1.5 Mbps 3.0 Mbps 3.3 Mbps 6.7 Mbps 13.4 Mbps
    256QAM 6/8 6 442.0 kbps 888.4 kbps 1.8 Mbps 3.6 Mbps 4.0 Mbps 8.0 Mbps 16.1 Mbps
    7/8 7 516.4 kbps 1.0 Mbps 2.1 Mbps 4.2 Mbps 4.7 Mbps 9.4 Mbps 18.7 Mbps

    上りでは、PRUの連結の仕方が違うため、連結が行われた場合の最大速度が異なってきます。PRU最大を使い切った時の速度が18.7Mbps、実用速度(64QAM程度)で13Mbps程度ですが、モバイルでこれだけの上り速度が出せるシステムは今のところ他に例がありませんから、大容量の動画中継などで威力を発揮するものと思われます。

  4. 次世代PHSのチャンネル割当システム

    次世代PHSでは、PRUと言う単位でチャンネル割当を行います。このPRUは、10MHzのシステムでは、時間方向に4つ、周波数方向に9個ないし10個、合計で最大40個あります。

    PRU構造

    この図の黄色い四角が一つのPRUを表しています。10MHzの中にこのようにPRUが並んでいて、端末から基地局へ割当要求があった場合、基地局はこの中から適切なものを選択して端末に割り当てる、と言う動作になります。

    PRUサーチ

    例えば端末から2個のPRUを割り当てて欲しいと言う要求が基地局にあった場合、基地局は、まず自身が割り当てているPRUと、周辺で使用しているPRUを自ら受信して確認します。次世代PHSは上下対称TDDですので、上り電波を受信するだけでそのPRUが周辺で誰かが使用しているかわかるしくみになっています。これによって、周辺で使用しているPRUが割り出されます(図中の赤い四角)。

    周辺で使用しているPRUのマップができたら、使っていない周波数をサーチし(図中虫眼鏡のマーク)、割り当てるPRUを決定します。

    割当PRU決定

    この場合、図中の緑の四角の部分が空いていたので、この2個のPRUを端末に割り当てることにし、割当メッセージを端末に送信してこの2個のPRUでの通信を開始します。

    ちなみに、ひとたびこのPRUでの通信を開始すれば、周辺の別の基地局や端末は、このPRUの使用を自動的に避けてくれるので(先ほどの周辺サーチによって)、基地局を密集して置いても混信することはありません。

    また、このPRUの割当は、一度の要求で割り当てられる数に上限はありますが、要求を何度でも繰り返すことで、一台の端末にいくらでもPRUを割り当てることができます。究極的には、一台の端末に40個のPRU全てを割り当てると言うこともできます。この場合、次世代PHSの理論最大速度での通信が可能になります。

  5. 他のシステムとの比較:マイクロセル

    次世代PHSの特徴の一つとして、マイクロセル化が容易である、と言うものがあります。具体的に他のシステムと比べてどのように違うのかを一覧表にまとめました。

    CCH多元方式 代表通信方式 干渉性 マイクロセル化
    FDMA PDC、GSM、802.11(WiFi)、802.16(WiMAX) 同一周波数隣接で干渉
    非同期CDMA W-CDMA(ドコモ、ソフトバンク) セル縮小で隣接干渉増大 やや難
    同期CDMA cdma2000(au) セル縮小で隣接干渉増大 やや難
    自律分散TDMA PHS、次世代PHS 干渉なし 容易

    マイクロセル化を行うときに重要なのは、「基地局が常に送信しているチャンネルの多重化方式」です。この基地局が常に送信しているチャンネルは、移動通信システムでは通常「制御チャンネル(CCH)」と言われます。

    この制御チャンネルは、実際に常に送信しなければなりませんので、同じ場所、または隣同士で干渉しないように何らかの手段で分離してあげないといけません。そして、セルの大きさやマイクロセル化を行うときにその難易度を決めるのは、この制御チャンネルをどうやって分離してあげるか、と言う方式です。

    世界的に最も普及しているのは、制御チャンネルを周波数で分ける方式(FDMA)です。隣同士になったセルの制御チャンネルの周波数を変えることで干渉しないようにします。この方法を使う場合は、隣同士のセルで同じ周波数を使うとその瞬間に干渉が発生するため、同じ周波数が隣り合わないように綿密に設計する必要があります。セル形状が複雑化する都市部等ではある一定以下にセルを小さくすることはできません。携帯電話システムであるGSM等もそうですが、無線LAN(WiFi)やWiMAX等もこの方式です。

    次に良く使われるのが、CDMAによる分離です。同期型と非同期型がありますが、基本的な原理は同じで、CDMAの特徴の一つである「違う拡散コードを使えば分離できる」というしくみを使うことで、隣のセルとの制御チャンネル分離を実現します。ただし、原理的に分離できる、と言うだけで、同じ周波数を同じ時間で使うことになるため、セルが小さくなると隣のセルからの電波は雑音として影響することとなり、結果として緩い干渉を生じるようになります。マイクロセル化は可能ですが、あまり効率的ではありません。

    PHSや次世代PHSが採用しているのは、時間分割による制御チャンネル分離です。制御チャンネル周波数を数十の束(スーパーフレーム)に分け、基地局毎にどの束を使うかを選択します。通常は設計者がこのタイミングを設定してあげることになりますが、PHSや次世代PHSではこの束の数が極めて多いため、基地局が自分で周囲の電波を計測し、誰も使っていない所を自分で選んで使う、と言う「自律分散」を採用しています。このため、設計者はほとんど手をかける必要がありません。また、同じタイミングを使うことがないので、隣同士に同じ周波数の基地局を置いても原理的に干渉が発生しません。理屈上は、制御チャンネル周波数が一個しかなくても同じ場所に無限数の基地局を置くことができます(ウィルコムによる現行PHSは最大80個となっています)。このため、端末はタイミングをずらすことで同じ場所からたくさんの基地局を観測することができます。端末はこの中から最も条件の良い基地局を選んで通信を行うことになりますので、基地局を大量に設置するだけで実質セル半径が自動的に縮小し、マイクロセルシステムとなります。PHSでは特に上り下りの周波数・フレーム長が同じという特徴を活かして無手順での電力制御が可能となり、効率的なマイクロセル運用が可能になります。また、複雑なセル形状となる都市部等でもセル境界は端末における受信状況によって自動的に決定されるため、複雑なセル設計を必要とせずに大規模なマイクロセルシステムを簡単に構築できます。

    このように、マイクロセルを実現すると言う視点から見ると、PHSと次世代PHSは極めて特徴的な方式を採用しています。

  6. PHSとの比較

    PHSとの比較表をご紹介します。

      PHS 次世代PHS
    帯域幅 300kHz / 900kHz 10MHz
    割当単位 625マイクロ秒/300kHzの通信チャンネル毎 625マイクロ秒/900kHzのPRU毎
    チャンネル数/基地局 3/7/15 32/36
    最大通信速度 800kbps 29.2Mbps

    従来のPHSと次世代PHSの一番大きな違いは、最大通信速度です。従来のPHSではフレーム内で変調方式が変わるなど、通信方式上の最大の速度を出すのが難しいため、ウィルコムの公表している最大速度を示しています。次世代PHSの最大通信速度は、ガードタイムなどを無視した最大可能通信速度を示しています。

    次世代PHSは最大速度がPHSの36倍と言う数字となっています。また、次世代PHSのチャンネル割当やセル設計などはほとんど従来のPHSと同等のものを引きついでいますから、実効速度も最大36倍が見込めることになります。ウィルコムのAIR-EDGE PROでは3~400kbps程度の実効速度が得られていますから、10~15Mbps程度の実効速度が得られることが期待できます。

    これ以外の比較項目のリクエストがありましたら、メールフォームなどでお寄せください。

  7. 第3世代携帯電話との比較

    第3世代携帯電話、特にW-CDMAのHSDPA/HSUPAとの比較をした表をご紹介します。

      第3世代携帯電話 次世代PHS
    帯域幅 5MHz 10MHz
    最大通信速度 下り14.4Mbps / 上り5.7Mbps 下り29.2Mbps / 上り29.2Mbps
    セルシステム マクロセル(個別設計) マクロセル+マイクロセル(自律分散)
    移動性 ソフトハンドオーバ対応 シームレスハンドオーバ対応
    低品質耐性 選択性フェージング耐性強 フェージング耐性弱

    大きな違いの一つは、通信速度です。HSDPAでは最大14.4Mbpsと言われていますが、次世代PHSでは物理層速度で36Mbpsが可能となっています。また、第3世代携帯電話ではセルを個別に設計してのマクロセルが基本ですが、次世代PHSでは自律分散によるマイクロセル化が可能となっていて、この分、大容量化が容易になります。

    一方、移動性については、ソフトハンドオーバに対応した第3世代携帯電話に対して、次世代PHSでは基本的には切断・再接続によるハンドオーバしかサポートしていません。切断前に新しいチャンネルを立ち上げるツインウェーブのような方式でソフトハンドオーバを模擬することはできますが、倍のリソースを利用することになる点と、隣接セルが異なるシステムバンドを利用していた場合にはやはり一旦切断になってしまう点など、移動性では第3世代携帯電話にやや劣ることになります。次世代PHSも、「シームレスハンドオーバ」という、旧基地局と新基地局に同時にリンクを張ることで通信を途切れさせない機能を持っています。ハンドオーバ中の通信速度の最大値はフルスペックの半分に落ちてしまいますが、第3世代携帯電話も原理上は同様ですので、移動性は第3世代携帯電話に遜色ないレベルであると考えられます。

    また、逆拡散により選択性フェージングをキャンセルできる第3世代携帯電話に対して次世代PHSは選択性フェージングを受けると個別のサブキャリアの伝送速度が落ちてしまうと言う原理上の弱点もあります。

  8. モバイルWiMAXとの比較

    2.5GHz帯で認可されたモバイルWiMAXとの比較をした表をご紹介します。

      WiMAX 次世代PHS
    帯域幅 10MHz 10MHz
    最大通信速度 下り30.15Mbps / 上り9.9Mbps
    (上り10Mbpsを満たすパラメータの場合)
    下り29.2Mbps / 上り29.2Mbps
    セルシステム マクロセル(個別設計) マクロセル+マイクロセル(自律分散)
    移動性 オープンサーチハンドオーバ シームレスハンドオーバ対応
    低品質耐性 フェージング耐性弱 フェージング耐性弱

    元々同じコンセプト上で策定された技術基準に沿っているため、次世代PHSとWiMAXは非常に似通ったスペックになります。

    この中でも重要な違いは、やはりセルシステムの違いです。WiMAXは、携帯電話などと同じく、制御チャンネルがセル周波数全体を使用しているため、隣のセルとの干渉を避けるために周波数で分離して繰り返し再利用するための綿密な設計が必要ですが、次世代PHSでは時間自律分散であるので設計が必要なく、容易にマイクロセル化することができます。

    また、移動性についても、WiMAXではセル周波数全体に制御チャンネルが広がっているため、隣接するセルにハンドオーバするためには一旦無線機を別の周波数に切り替えて隣接セルをオープンサーチしなければなりません。ただし、WiMAXでは全タイミングで常に制御チャンネルを送信しているため、最短で5msで隣接セルを発見することが可能です。それでも、次のチャンネルを立ち上げるまでの手続き中は旧チャンネルは完全に途切れているため、次世代PHSのように無切断でのハンドオーバは不可能で、最低でも数十msの断が発生してしまいます。

    また、同じOFDMを使っているため、原理的には品質耐性は同じになります。

  9. さいごに

    次世代PHSの開発はまだ始まったばかりです。規格上は可能な組合せでも、実際の機器を作る上では、消費電力やサイズの関係で切り詰められてしまう部分も出てきます。

    今後、こういった点で情報が出てき次第、このページも更新していきたいと思います。

    また、読者の皆さんからの解説のご要望も受け付けています。こちらのメールフォームからどしどしリクエストを送ってください。

戻る