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2009/08の過去ログ


ソフトバンクの基地局減少

2009/08/28

ちょっと気になる情報をいただきました。ソフトバンクの基地局数が減少に転じている(携帯・PHS関連@wiki)とのこと。

携帯電話の基地局数が減少する、と言う事態は、いや実のところ、たいした問題はないのです。需要が減れば基地局数を減らして調整するのは当然のことですし、需要が減っているのに基地局だけ増やしていく、というのは、むしろ健全ではありません。ちゃんと収支のバランスを考え安定してサービスを継続するために、需要の減少に伴って基地局を減らすことは、キャリアの義務でもあります。

ただ問題は、ソフトバンクは、定常的に需要を増やしているということ。あまつさえ、純増数No.1なんてのを自ら宣伝文句にしていたくらい、需要の増加は旺盛です。その純増数の数字のほとんどが虚偽の数字であって実際の需要はまったく増えていないんだ、なんていうことでもない限り、通常はその需要に応えるために基地局の増設があってしかるべきです。にもかかわらずここで基地局数が減少しているのは、需要の増加を支える意思を放棄したか、あるいは、それ以前の基地局数が過剰だったか、どちらかです。

さてそこでさらに、地域別の基地局数を見てみると、実は、減っている数はほぼ全数が近畿に集中しています。近畿に限って言えば、前々回の発表の数値でもすでにマイナスの数値を記し始めています。では、それは需要放棄なのか、というと、これはまたちょっと様相が違うようです。というのが、ソフトバンクの基地局数、関東8700に対して近畿7200(削減前)という比率。一方、ドコモ、auは、近畿の基地局数は関東の半分程度です。ドコモやauに比べると、ソフトバンクは近畿の比率が異常に高いということがわかります。

つまり、元々、ソフトバンクの基地局数は、(単純に比率だけで言えば)近畿が過剰状態であったことがわかります。ではなぜそのようなことになっているのか。実は、これも過去のデータを見ればすぐにわかってしまいます。その昔、孫先生がドコモの4万6千局宣言に対抗して「ソフトバンクは4万7千局だ」とぶちあげたとき、結局4万7千どころかそれより1万も少ない数で息切れしてしまいましたが、それでも極端に基地局数が増えた時代があります。このとき、実は、近畿地方の基地局の増加率が相当なものだったのです。2年ほどで基地局数4000から6500ほどに一挙に増やしています。

結局、今回の近畿の基地局数が大量に撤去されている件を見る限り、これはやはり、急増のうちの一部は数稼ぎのためだけの増局であったと推定せざるを得ません。もし、エリアカバーのために必要な部分をきっちりと設計し重点投資していたのだとすれば、今になって減設すべき理由はないわけです(もしエリアカバーのための必要最低限の基地局を間引きしているのだとすれば、それこそ問題です)。結局数稼ぎのために一部に過密配置し、ほとぼりが冷めた頃に撤去しているのだとすれば、この動きはすんなりと納得できます。

そしてもう一つ。もう時効だと思うのでしゃべっちゃいますが、その昔、ボーダフォンと、ボーダフォン買収前で自力参入を目指していたソフトバンク、この2社が、特に関西で、面白いことをしていました。それは、他社基地局の建っているビルオーナーたちに「他社の○倍払うから、他社局を撤去させてロケーション貸せ」と、持ちかけていたことです。当時この二社はまったく関わりなく、なのにまったく同じ戦略でロケーション確保を行っていたのです。面白いといえば面白いですが、これで結構な数のロケーションを確保したというのも事実。

簡単な戦略なんです。ビルに基地局を建てる場合、ビルの構造調査とか電磁波環境調査とか、あるいは他キャリア折衝とか住民折衝とかが結構めんどくさいんです。これらがあるがために基地局建設には時間がかかるし費用もかかる。それを考えれば、他者の基地局が建っているということは、すでにそういった基礎調査や折衝はクリアしているということ。そこを横取りするのが一番手っ取り早くなおかつ確実にロケーション確保できるわけで、そこに同時に気がついたのがボーダフォンとソフトバンクでした、ということです。

で、結局その2社は1社になっちゃって、ロケーションはたくさん持っていて、例のドコモ追随戦略のためにそのロケーションを最大限利用して近畿の基地局数を一挙に増やしちゃおう、となったのは想像に難くなく、ただ、そうやって確保されたロケーションは、結局「他社の○倍払うから」を原因として、維持費が高くなってしまうわけで、費用削減をしようと思ったらやっぱりそういうところから削っていくことになるのかなぁ、と、そういうわけで、近畿の基地局の大量撤去として現れているような気がします。

そんなわけで、東西比率だけで見れば単なる適正化ではあるんですけど、そもそもの絶対数としてどうなのか、という問題はまだあります。発生しているトラフィックに対しては、ちょっと少なすぎる感はなきにしもあらず。単純な数の多少で比べられるものではありませんが、といっても、ソフトバンクのHSDPAが快適に利用できるのはたとえば東京近郊なら環七以遠16号以内というドーナツ状のエリアだけ。都心部の手当てが余りに薄いのは周知の事実です。こういったところを放置したまま、基地局減設局面に入ってしまうのはいかがなものかという気がしないでもありません。

関西の無駄局整理が落ち着いたら、また定常的な整備に入るとは思いますが、孫先生の思いつきを実現するためだけにそれだけの無駄な局を整備する、そんなことに支払った料金を使われているソフトバンク利用者はちょっとかわいそうな気もします。といったところで本日はこれにて。

補足:「免許情報の不備・不整合を修正しただけではないか」というご意見をいただきましたがそれだけは絶対にありえません。もし何百件という免許状をそういう状態で放置していたのだとしたら、それこそ事業免許取り消しモノの大騒ぎです。「免許があるのに電波を出していない」とか「電波をとめたのに免許を放置する」とか、それどころか「実物がないのに免許申請する」なんてことは、絶対に許されません。虚偽申請として厳罰対象です。総務省側がデータベースのメンテミスをした可能性は完全に否定できませんが、この可能性を論じる場合はそもそも総務省のデータベースに依存した基地局数議論自体が破綻するので、この際考えないでもいいでしょう。


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PHS-XGPデュアル基地局は成立するか

2009/08/26

XGPとPHSのデュアル基地局はできますか?というご質問をいただきました。技術的観点、法的観点から、これが実現可能なのかどうかは、確かに気になるところです。

さてこういう話をし始めると、やはり出てくる一意見として、「すべてのサービスをXGPに巻き取ってしまえばPHSは不要になるのだから、デュアル基地局は必要ない」というものがあるかと思います。これは一つのソリューションではあります。何しろ、同じ移動体のネットワークを二つ維持するのは、もったいないですからね。

といっても、PHSにはPHSにしかない特徴が数あることも事実です。まず何より、チャンネル選択の自由度が圧倒的に違います。35MHz80チャンネルの中から好きなチャンネルを選んでその場で即座に割り当てを行い、通信を行う、という離れ業、残念ながらXGPには絶対にまねできません。XGPも自律分散とは言いますが、それは制御チャンネルの時間軸配置における話。通信用チャンネルの周波数配置に関しては、ほとんど自由度がありません。XGP用には30MHzが割り当てられていて、これを10MHzずつ使うことになるのですが、ある基地局が免許で申請できる周波数は、この中のどれか1つに限られます。30MHzの中から好きに選ぶことは出来ません。10MHz幅の三つのバンドがあって、1台の基地局はその中のどれか1つの10MHzを選び、さらにその10MHzの中から通信用チャンネル(900kHz単位)を選ぶことになります。これは法律上の制限なのでどうしようもありません。

PHSなら、ある周波数が逼迫していたら(というか誰か他に使っていたら)、残り80もあるチャンネルの中からいくらでも好きなところを選べるのに、XGPでは、10MHzの中のどこか、もっと詳しく言えば、10MHzを10個に分けたうち、9個が通信用に使えますが、基地局がある1個のチャンネル上で通信中の端末を別の周波数に誘導したくても、残り8個の中からしか選べない、ということです。ざっくりといって、自由度は10倍もの差がある、ということです。

自由度が10分の1ということは、端末同士の通信が偶然ぶつかる確率は100倍になるということです。つまり、加入者が増えて混雑してきたときのことを考えると、PHSのほうが、XGPよりも100倍もつながりやすい(エラーを起こしにくい)ということになります。PHSの自律分散というのは確率的ダイバシティがその基礎原理ですから、自由度が落ちるとそれにしたがって確率ダイバシティの効きが悪くなってしまうのは仕方がないのです(もちろんそれを補うためにXGPでは当初からアダプティブアレイやSDMAを活用するわけですが)。

というわけで、PHS網というのは、音声サービスを運用するのに非常に向いているのはもちろん、いざというときの負荷分散先としても非常に有望なのであって、せっかくのPHS網を捨てることは私はあまり好ましく思っていません。そういう意味では、私はデュアル基地局は必須要素であると思っています。

デュアルといっても、基本的には、PHS基地局とXGP基地局が一つの箱に入っただけの物になるといえます。というのは、なんだかだでPHSとXGPって共通点がほとんどないからです。フレーム長がまったく同じなのでタイミングを同期させれば基地局内部での回り込み問題が置きにくい、という利点がある程度。この利点があることを除けば、まったく無関係の無線基地局を一筐体にまとめるのとほとんど苦労は変わらないことになってしまいます。

一方、アンテナはすでにPHSとXGPで共用しているようなので、要するに、あとはPHS基地局ボードとXGP基地局ボード、そしてそれぞれ用のRFユニットを一つの箱に収めれば完成。ただし、OFDMってのはとんでもないレベルの隣接漏洩電力を撒き散らす代物なので(どうもこのOFDMの大欠点を指摘する人が少ないんですけど)、どうしてもフィルターが巨大化します。そこまで含めて1筐体に収めるのは、そこそこ難度の高いチャレンジになるものと推測できます。

筐体を一つにまとめるメリットは、やはり、従来設置されている位置にそのまま置き換えで設置できることですね。PHS基地局の老朽化に伴う更改でついでにXGP局を置く、ということが出来ます。アクセス線は同じ光回線を共有できますし(どちらもIPなので)、電源も一本で済みます。また、基地局オーナーへの説明もしやすくなります。いくらPHS基地局が軽いといっても、いきなり「今度2個に増やしたいんですけど」といわれて即答でOKを出すオーナーはなかなかいないでしょう。それよりは「最新型に交換します」で済むデュアル基地局は、置き換え型のエリア拡充に大いに役立つといえます。

おそらく最大の問題はやっぱり法制面。PHS基地局というのは電波法上結構特殊な扱いをされている装置で、それに対してXGP基地局は携帯電話基地局と似たようなもの。この二つが1台の装置に同居している場合というのは、想定されていない気がします。免許手続き自体が存在していないかも。ただ一つ光明があるとすれば、すでにアンテナ共用運転をしているということ。無線局免許というのはアンテナまで含めて一つなのですが、そのアンテナ部分がPHSとXGPの両方に属している、逆に言えば、一つの箱(アンテナケース)の中にPHS局とXGP局が同居しているわけで、すでにPHS局と携帯電話基地局的なモノの同梱物の免許手続きは何か道筋が出来ちゃってるかも、と思ったりします。

ということで、PHSのインフラを活用しつつXGPのサービスを広げていくならデュアルは必須、と思っています。一方、PHSは捨てるつもりなら、今後もシングル一辺倒になるかもしれません。ただねぇ・・・PHSは捨てないでほしいなぁ。といったところで本日はこれにて。

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apple特許に関して

2009/08/25

ショートコメント。iPhoneで電話しながらファイルを送る特許をAppleが申請というニュースですが、これは通信技術の話ではありません。単に、インターフェース(画面構成)とデータ処理(アドレス帳連携)の話。そんなくだらないことが特許になるの?と思われるかもしれませんが、なるんです。私も数年前単なる画面上のアイコン配置位置の特許を申請して審査を通過し今でも年間数万円の国内&国外からの特許料(正確には当時在籍した会社からの特許補償料)の振込みがあります。それに比べればAppleの特許は十分立派。っていうか特許なんて言ったもん勝ち。

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究極のガラパゴスケータイ

2009/08/24

さて、どうも最近、iPhoneマニアの方々が中心に、日本の一般的な携帯電話を指して「ガラパゴスケータイ」略して「ガラケー」と呼び、馬鹿にする、ということが多いようですが、どうもこれちょっと違うなぁ、というのをよく感じるんです。

いや、ガラパゴスケータイって言うもの自体が非常に恣意的な名づけであって、最初から日本の携帯電話市場を揶揄するためだけに作った呼び方なんです。それは前にも述べたとおり、結局独自の進化を揶揄するのが目的であって、とはいえ日本の携帯電話は独自の進化をしているのではなく世界の2歩先を常に進んでいることを勘違いした向きからの指摘である、ということなのです。

であるからして、日本の携帯電話は、基本的には海外で使われているサービスのほとんどをサポートできます。その上で、日本独自の(二歩先を行った)さまざまなサービスにも対応している。これが、日本の携帯電話の現実です。結局それが海外で受け入れられないのは、海外では提供されていない高度なサービスに対応しすぎているために高価すぎるということが最大の原因だったりします。使いもしないサービスに対応している端末を高額で買うくらいなら、自分で好き勝手にいじくれるスマートフォンを、というのが、海外の感覚。私の感覚では、日本の携帯で提供されている機能・サービスを100とすると、そのうち海外でも使える機能は10に満たない。一方、スマートフォンなら努力次第で60くらいまでは実現できる。ところが、日本国内に限れば、残念ながらスマートフォンより一般の携帯電話端末のほうが、機能・サービスのサポート幅ははるかに広いのが現実。

さて海外で、10しか出来ない携帯電話と、60までは出来るスマートフォン(iPhone)が販売されて。そう、そりゃ、もてはやしますよ。「えっ、ケータイでここまでできちゃうんだ!」って。だから、海外でのiPhoneブームは、本物です。ところが日本ではどうでしょうか。そう、日本の携帯ならそれを超えて100くらいの機能が簡単に実現できる。むしろ日本の携帯電話を使っていた人たちが下手にスマートフォンに手を出して「こんなことも出来ないんだ」とつぶやく場面のほうが多く見られます。

で、特にiPhoneに話を絞るわけですが、iPhoneって、おそらく、「本当の」ガラパゴスケータイと呼べる唯一のマシンだと私は思っています。非正規の処理を行わない限りAppStore以外からのアプリ入手は不可能だし、そのアプリも独自プラットフォーム。OMAで標準化されているWAP(WSP/WTP)にも対応していないし標準移動体アプリケーション規格MIDPにも対応していない。何より3GPPで規定されているユーザインターフェース規格に準拠していない。日本の携帯は、どれほどへんちくりんな端末でも、これだけは守っています。iPhoneはそれをまったく無視。

もちろんそれがどれほど共通規格からかけ離れていようとも、使う人がマジョリティになれば、「デファクトスタンダード」となりうるわけですが、残念ながら、iPhoneはいまだ圧倒的マイノリティ。台数ベースで言えば1%にも満たない数しか出荷されていません。しかも、当のAppleがAppStoreとiPhoneプラットフォームの公開をかたくなに拒んでいます。結局、iPhoneユーザは、AppStoreとiTunes StoreとiPhone[3G[S]]の三角形からなる非常に狭い世界から一歩も外に出ることが出来ないし、他の携帯をその世界に招き入れることもできないわけです。これは実にマイノリティの雄たるウィルコムよりも狭い世界。これをこそガラパゴス状態といわずして、何をガラパゴスと呼べばいいのでしょうか。

別にiPhoneの機能性を否定するわけじゃないです、iPhoneファンの人が日本の携帯をガラケーと揶揄することにものすごい違和感を感じる、ということなんですね。むしろ、iPhoneファンの人は、「AppStoreが使えるのはiPhoneだけ、iPhoneがガラケーだ?ガラケー上等、AppStoreに勝てるアプリ牧場が他にあるなら見せてみろや」くらいのことを主張するのが正しい姿勢なのではないかと思ったりします。

ガラケーだろうがなんだろうが、面白いものは面白いですからね。私がスマートフォンを買った最大の動機も、当然「面白いから」ですから。今のケータイでは実現できないあれやこれやをやりたい、なんていう動機はからっきしありませんでした。だってやれることのリストで言えば、W-ZERO3よりも一般のケータイのほうがはるかに多いですもん。それでもあえてそんな機械を買うのは面白いからであって、まぁそれがある限りは、日本でのスマートフォン需要は一定以上は保ち続けるのかなぁ、なんて思います。iPhoneは下手におサイフ対応とかワンセグ対応とかしないほうがよろしいと思うわけで(日本ローカルのこれらに対応できるわけないとは思いますけど)。

そんなわけで、私もある意味ガラケー化しているWindowsMobileをメイン端末とすることに飽きてきたので、そろそろ一般の端末に戻りたいと思っています(ガビーン)。いやー、もうちょっとがんばると思ったんですけどねぇ、ウィルコムもマイクロソフトも。ぜんぜん、「(日本の)一般端末並み」に近づけないですから。そう考えるとやっぱり日本のケータイはすごいんだなぁ。といったところで本日はこれにて。

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ウィルコム珍現象in有明

2009/08/21

有明で行われた10万人だか20万人だかが集まる大イベントで、携帯電話がつながらないとかつながるとかそういう話があったようで、それについてちょっとした質問をいただきました。

携帯電話、ドコモ・auはつながりにくくなり、ソフトバンクは論外という状況で、ウィルコムはとりあえずつながりはするけど酷い音でちょっとすると切れちゃう、という状況だったとのこと。これはいったいなんぞや、ということなのですが。

ちょっと前にも書きましたが、PHSというのはたくさんの基地局とたくさんのチャンネルが大量にオーバーラップすることによる確率的ダイバシティ効果でつながりやすさを確保する戦略です。つまり、「たまたま選んだこのチャンネルが偶然遠くの端末の電波と混信することはそうそうないだろう」ということを期待するわけです。

なぜこんなことを、と思う方もいらっしゃるかもしれません。というのも、PHSは通信開始時にちゃんとキャリアセンスを行い、空いているチャンネルを選ぶ仕組みになっているからです。しかし、これは、キャリアセンスの限界に起因することです。キャリアセンスを行って空いているチャンネルを選ぶ、というとき、それを行うのはもちろん基地局です。つまり、キャリアセンスによって発見された「空きチャンネル」というのは「その基地局の知る限りの空きチャンネル」に過ぎないのです。

下図をご覧ください。

基地局二つが近くにあり、そこに緑と赤の端末がいます。赤の端末は右の基地局と通信中です。緑の円は緑の端末から電波が届く範囲、赤の円は赤の端末から電波が届く範囲を表します。黄色の楕円は基地局の電波の届く範囲。緑の端末が左の基地局と通信を開始しようとするとき、左の基地局は当然キャリアセンスを行います。しかし、ここで重要なのは、左の基地局は自身まで届いている電波しか見えない、ということ。赤の端末が出している電波は、赤い丸の中までしか届きません。もちろん、右の基地局が出している電波も届いていません。ということは、左の基地局からは、赤の端末がそこで通信を行っていることが見えない、ということです。

ということは、赤の端末が使っている周波数チャンネル・スロットは、左の基地局には「空きチャンネル」に見えるということ。ここで、偶然にも緑の端末に、赤の端末が右の基地局と通信しているのと同じチャンネル、同じスロットを割り当ててしまったとします。左の基地局は、そのチャンネル&スロットで電波の送信をはじめ、緑の端末はそれを受信するためにチャンネルを合わせます。ところが、緑の端末には、右の基地局の電波も届いてしまっています。なおかつ、それは、赤の端末に向けて送信している同じチャンネル&スロットの電波であるため、緑の端末に届く左の基地局からの電波を妨害してしまうことになるのです。

同じチャンネル&スロットで電波がぶつかり合うと、お互いを打ち消すように働くため、エラー率が上昇して音質はぐちゃぐちゃになりますし、あるいは完全に途切れてしまいます。また、PHSの仕様として、エラー率が高い状態が続くと「圏外」と判定してチャンネルを切断するような動作も行います。これは、新しく通話し始めた側だけでなく、最初から通話していたほうも同じように影響を受けます。つまり、通話していた赤い端末も音質ぐちゃぐちゃでエラー率上昇、最悪切断に至るということ。

普通、こういうことは起こらないんですよ。大雑把に80の周波数チャンネルと3つ(あるいは4つ)の時間スロット、すなわち240~320の選択肢が常に用意されていて、その中からテキトーに選んだものが偶然ぶつかる、しかも、それが上の図のようなかなり珍しい配置同士の端末で起こる、というのは、あまりありえないんです。これが確率的ダイバシティ効果と私が勝手に呼んでいるPHS特有の負荷分散効果です。これがあるからこそ、かなりいい加減にマイクロセル化(オーバーラップ化)を施しても大丈夫なんですね。

しかし、一つの建物の中で10万とか20万なんていう人間がひしめくような状況まではさすがに耐えられなかったのかもしれません。もちろんそういったイベントに備えてウィルコムは多量の屋内基地局を配備していたでしょうが、基地局の数、端末の数、エリア境界の数があまりに増え、上図のような状況が大量に生まれてしまったのかもしれません。「どのチャンネルに逃げてもダメ」とか「通話しているとすぐに誰かが混信してくる」という状況で、基地局としては精一杯他者を避けてチャンネルを割り当ててあげてるつもりだけど、見えない場所に大量にいる端末のどれかにどうしても当たっちゃう、という状況。これが、次々に数珠繋ぎ式に起きることで、「つながるけどすぐ聞くに堪えない音になりちょっとすると切れちゃう」という状況が生まれてしまった、ということかもしれません。

また言うまでもありませんが、ウィルコムは音声定額を提供しています。ちょっとしたグループで出かける人が、同じ会場内でトランシーバ代わりに使うような状況が十分に考えられます。という状況で、とんでもないトラフィック量が実現してしまった可能性があります。それこそ、同じく音声定額のソフトバンクがまったくつながらなくなったのも、それが原因と考えられるわけですし。

要するに、PHSに割り当てられた35MHz(実質15MHz、FDD換算で7.5MHz)という帯域幅が物理的に全部埋まってしまった、という状況です。基地局個別の回線容量より先に周波数の限界が来た状態。

端末が基地局に接続を要求したとき、基地局としては、キャリアセンスをしてみるとどこもかしこも使用中。何とかかんとかノイズレベルの低い使ってないっぽいチャンネルを見つけて端末を接続してあげます。回線は余ってますから。しかし、そうやって見つけたチャンネルは、おそらくは、たまたま見えない端末が使っているだけのチャンネル。基地局はがんばりにがんばってその結果としてよりによって上記の「見えない端末問題」が発生するチャンネルを積極的に選んでいたわけです。実際にはほぼすべての周波数チャンネルは埋まっていて、しかし基地局はたまたま自分からは見えない端末が使っているチャンネルを「空いている」と判断してしまうわけです。

こういうことが起こるのは、もうそれこそ、有明のイベントのような超絶的な密集状態が実現したときぐらいです。なおかつ、それをカバーする十分な数の基地局が置かれた場合。こういう場合は、周波数が逼迫する前に回線がネタ切れになるくらいの基地局数、基地局密度に抑える必要がある、ということかもしれません。

さらに有効なのは、そういった密集配置の基地局同士が使っているチャンネルの情報を交換することです。密集配置となれば、どうせお互いの電波はほとんど重なっちゃう。だったら、密集エリア内の周波数チャンネルを密集基地局群全体で共有するようにすればよろしい。スロット、周波数を網羅したID空間でDHCPみたいな感じで割り当てを行うサーバを一つ立てて、通信開始時にそこから払い出してもらう仕組みで、この問題は基本的に解決します。もちろん、そんな機能をいまさら入れるのはまた難しいとは思いますけど。なんだったらDHCPまんまでもいいんですよね。1.1.1.X/24でXは周波数とスロットの組み合わせをシーケンシャルに並べたIDを割り当てて。これだと最大254個しか管理できませんが、そこはそれ、現在公衆専用で使えるPHS周波数は62個、4スロットで258個なので、あぶれるのは4つだけです。全体はほぼ網羅できています。DHCPなら出来合いのサーバと出来合いのクライアントモジュールで簡単。たとえば多数の基地局をこういった「基地局の群れ」にグループ化し、このグループを3つくらいに集約してしまえば、少なくとも偶然ぶつかる可能性は基地局3つが密集配置されている場合と同程度にまで下げられます。最新局で14chまで対応という話もあるので、18台を1グループにすればきれいに周波数を使いきれます。また、隣り合うグループではチャンネルのID並び順を逆転しておけばさらにぶつかる確率低下(たいていのDHCPは一番下から順繰りに割り当てを行うので)。

なんていうアイデア大会をするのが目的ではないのですが、まぁそもそもこの一言に目的などありはしないので、こんな感じのゆるゆるな感じで本日は終わりにしようと思います。でわ~。

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ウィルコム回線を使った何でも放題プラン by ????

2009/08/19

一応、リンクはしません。いや、やっぱり何かあったら困るから。といいつつ、某所で、ウィルコム回線を使ったスペシャルなプランが販売されているのは事実。

内容は、基本料が2280円、これで21~25時を除く時間帯の070宛て通話が無料、また、それ以外のすべての通話は、30秒10円。また、メールは全種別無料。3回線以上必須。パケットは0.084円で2800円以上は無料。これだけなら、トリプル定額プランと同じです。トリプルよりも基本料が高いのが「?」と思っちゃうくらい、なんてこたーないプランなんですが。

問題は、唯一従量課金される21~25時の070通話以外のすべての通話、30秒10円というのが、3700円以上は無料になる、ということ。よーするに、「誰とでも話し放題」というヤツです。

私が結構繰り返し書いてきたことは、「誰とでも話し放題にすると、主に携帯電話宛通話のアクセスチャージがネックとなって赤字になりうる」ということ。それがあるために一般的に他社宛も含めた話し放題というのはなかなか提供できないし、事実として、コンシューマ向けにはまだ提供されたことがありません。

この携帯他社宛のアクセスチャージというのは、1秒0.15~0.2円くらい。1分で10~15円と思えばよろしいでしょう。また、話し放題にすることで平均で数時間、最大で15時間も月に通話を行う、というコメントがあったこともあり、たとえば5時間でも3000円、15時間だと9000円ものアクセスチャージが発生してしまいます。勘違いしないでいただきたいのは、この3000円、9000円という数字は、名目上の数値ではなく、本物の原価。ビタ一割引の効かない、本当に払わなきゃならないお金。ってことは、たとえば管理原価など他の費用を除いて50%の利益率を取ろうとしたら、6000円、あるいは18000円とかいう値付けをしないと、サービスとして成り立たないということになります。

というように、携帯電話網宛のアクセスチャージはかくも高額であるわけで、なかなか他社網宛ての定額通話というのは、一般的には実現していません。にもかかわらず、この某所では堂々と売られているという事実があります。また、すでに過去には販売店限定プランとして販売実績があるようです。では、販売店が従量通話分の通話料を肩代わりしているのでしょうか。それはさらに難しく、というのは、つまり、販売店が肩代わりする場合は今度はウィルコムの設定した通話料をきっちり支払わなければならなくなります。その額は、30秒10円、つまり1分20円。先ほどの計算の倍の通話料原価を販売店が負担しなければなりません。ウィルコム自身が提供するよりもさらに実現可能性が低くなります。

さて。結論から言ってしまうと、このプラン、どうやら、ウィルコムが赤字リスクをひっかぶる形になっているようです。いや、そう思われる、ということ。というのは、ウィルコムが法人向けに相対プランとして、固定・携帯すべて完全定額、というプランを売っていた、という事実があるからです。これはウィルコムに限らず、他の携帯電話事業者もそれなりにやっています。ただウィルコムの場合はちょっとすごくて、事実上の法人向け標準プランとして、その完全定額プランを売っていたみたいなのです。法人ごとに特別プランを組むのではなく、法人なら誰にでも同じような料金で紹介、という感じで。

ウィルコムの思惑としては、法人ってのは、個人ほど無茶な使い方をしないから、たとえば先ほどのアクセスチャージの話にしても、まとめてウィルコムを導入した法人ならウィルコム間通話が増え逆に他社携帯宛に1回線あたり何時間も通話することは考えにくく、多くてせいぜい2~3時間と考えれば原価は2000円に届きません。5~6千円の料金をもらえれば十分黒字なんですね。

要するに、今回出てきたこのスペシャルプラン、おそらくその法人向けプランを代理店が大量仕入れした上で再販しているのだろうと思われます。端末がレンタルのみなのも、代理店が1次ユーザとして格安端末をまとめて購入しちゃったからと考えれば筋が通ります。

と考えると、「実質ほとんどの通話がウィルコム同士になる」という条件を満たす法人だからこそ提供できるこの完全定額プラン、個人向けに軽々しく売っちゃうのは、やっぱりちょっと危ない気がします。もちろんその危険をある程度緩和するための「3回線から」なのでしょうけど(3回線の間の通話、つまり家族間通話はウィルコム同士になる)、世間にあふれるほとんどすべてが他社携帯電話であることを考えると、比率から言って、他社宛通話が圧倒的になるのは目に見えている気がします。

いや正直、これって本当にウィルコム承知の上でやってるのかさえ気になるんですよね。ウィルコムとしては法人向けに代理店に大量に卸したつもりだったのに、勝手に個人向けに売っちゃってた、みたいな状態なのかも、なんてかんぐっちゃいます。なんつっても、販売元が過去にいろいろと事件を起こして最近でも某社の寝かせ回線疑惑をすっぱ抜かれた○通信らしいので、何をやってるものかわかったものじゃありません。
※とかいって、よく見たら「事業者向け」って注記が追加?されていますね。

ということでやっぱりこれを大々的にウィルコムのプランとして広く宣伝するのは、あまりよろしくないのではないか、ということで、リンクは張りません。やっぱりいろんな意味でまだ危険な香りを感じるのです。ということで、今しばらく様子を見て、この販売方法が広がっていくのか、むしろウィルコム自身が提供はじめちゃうのか、と行ったところを確かめてから改めて紹介しつつ自分でも検討したいですね(検討しちゃうんだ)。でわ~。

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無線エントランス基地局 XGP篇

2009/08/17

またいくつかネタがたまっているんですが、ご質問がありまして、「ウィルコムは無線エントランス基地局を使っていますが、XGPではどうなるんでしょう」と言う趣旨のものをいただきました。

まずは例によって改めての説明になりますが、ウィルコムの無線エントランス基地局と言うのは、一般の基地局がISDN線をネットワークへの接続に使うのに対して通常の公衆基地局からのPHS方式の電波をネットワークへの接続に使う基地局のことです。つまり、上位の基地局から見ると、無線エントランス基地局は「PHS端末の一種」に見えることに。要するにレピータの一種です。

これが一般の携帯電話の中継局と違うのは、まさにこの点。一般の携帯電話中継局は、単に電波が一方のアンテナに入ってきたらそれをアンプに流し込んで増幅し反対側のアンテナにつないでそこから飛ばしているだけ。通信の中身も気にしないし、チャンネルも気にしない、それどころかその電波に何台の端末がぶら下がっているかさえも気にしない。ただ、物理的な電波の「波の形」を増幅再生しているだけです。原理的には小中学生の夏休みの工作でおなじみの鉱石ラジオと同レベルの装置。ちなみに上位の基地局からどう見えるかというと、「見えない」が正解。透明のガラスと同じ存在です。

それに対して、無線エントランス基地局(以下RS)は、自分自身が基地局と端末の機能を持っています。まず、RSが本当の端末(以下PS)から「無線アクセスチャンネルの要求」を受け付けると、RSは自身が端末として上位の公衆基地局(以下CS)に対して要求されたのと同じ種類の無線アクセスチャンネルの要求を送信します。CSからチャンネルの割り当てをもらったRSは、今度はPSに対して要求されたチャンネルの割り当てを行います。つまり、ワンテンポ遅れているだけで、しっかりと自身が基地局としても端末としても動作していると言うこと。おそらくちょっとディップスイッチをいじれば通常の基地局としてそのまま動作するレベルのものなはずです。逆に、ダイヤルボタンとスピーカーとマイクをつければ、そのまま端末として使えるはず(笑)。

余談になりますが、これは実は、レピータ(ホームアンテナ)も同じ。ウィルコムのホームアンテナは、実はしっかりと基地局機能を備えています。有線のエントランスといくつかの機能さえ補足してあげれば、そのまま基地局として動いちゃいます。おそらくそれが、法人向けに展開しているナノセルなのかなぁ、と思います。

そんなわけで、ウィルコムの無線エントランス基地局と言うのは、きわめて厳密に「PHS基地局」+「PHS端末」であるわけです。と言うわけで、残念ながら、XGPには一切応用できません。PHS端末はもちろんXGPの電波を理解できませんし、PHS基地局はXGP方式の電波を出すことが出来ません。XGPで同じことをやるなら、同じく「XGP基地局」+「XGP端末」が一体となった基地局を作らなければならないのですね。

ただし。重要なのは、作りさえすれば同じ方式で出来ちゃうという点。と言うのは、つまり、XGPもTDD方式だから。TDDでは送信と受信を完全に時間で区切るので、受信して処理して送信、と言うことが簡単に出来ます。実はPHSで中継と言うとたいていこの方式が使われる理由もこのため。逆に、単なる増幅再送信は使えません。それは同じ周波数に送信も受信も乗っているので、完全に混信してしまうからです。

FDDだと単なる増幅再送信と言う安易な方法が使える代わりに、決してノイズレベルを落とせるわけではないので、S/N比がかなり早い段階で低下し始めます。中継局で本物の基地局レベルのエリアが実現できないのはこれが原因。一方、ウィルコムの「一旦デジタル信号にまで戻してから再度送信してあげる方式」だと、電波そのものはゼロから再構築。一旦ゼロにしてご破算にしますから、ノイズレベルも一旦ゼロにリセットできます。と言うことは、基地局と同じエリアを構築できますし、もちろん、送信元の基地局より大きなエリアをカバーさせることも出来ます(PHSでは実際にそういうことをやっている場所がいくつかあります)。

そんなわけで、有線のエントランス線が取れない位置でも十分なエリアを実現できる可能性のある無線エントランス基地局、XGPでも理屈上は可能です。後は、現実的に可能かどうか、という点だけですね。この辺、たぶんいろいろ難しい問題が出てくると思います。たとえば再送信に使う周波数、PHSなら、80余りのPHS用チャンネルの中から好きな位置に再配置すればよかったのですが、XGPでは、一つの基地局が扱える電波の範囲が10MHz(PRUで10個、制御チャンネルを引くと9個)に制限される(免許上)ので、再配置可能な周波数がない、なんていうことが起こります。それを防ぐには、結局は中継「される側」であらかじめ利用帯域を半分に絞っておくなんて事が必要で、ということは、ピークレートも半分になってしまいます。PHSの無線エントランスエリアで時々見られた「速度があまりでないエリア」が、XGPでも再来してしまう(しかも解決不能)なんてことにもなりかねません。

それと、やはり基本的には基地局の電波が届く範囲でしか使えないので、圏外を根本的に解決できる仕組みでもありません。無線エントランス基地局が親基地局と会話できる距離は、やはり5km程度が限度。そこから直接端末と会話するとしても、2kmが限度ですから、せいぜい基地局のカバーエリアをちょっと増やせますよ、という程度。XGPの設計も従来PHSとさほど変わらないので、やはりこの程度になるんじゃないかなぁ、と思うわけです。もちろん、32kbpsとかいう超遅いリンク速度になってもいいのなら、もう少し飛ぶかも知れませんが、しかし、肝心要のエントランス無線の部分が32kbpsではいくらなんでも心もとないですから、やっぱりPHSと同程度に抑えることになるでしょうね。

ということで、XGPでの無線エントランス基地局の可能性を考えてみました。でわ~。

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獲得数を追いかけろ

2009/08/14

さて、こんな業界に身をおいていると、ヘンテコな知人が出来るものです。とある会社で、携帯電話とモバイルデータの市場分析をしている人が、ちょっと面白いことを口走っていたので、ご紹介。

というのが、大体市場を分析していると、各社の新規獲得の内訳というのがかなりの精度で明らかになるらしいのです。たとえば、ドコモは半分強が個人・法人音声契約、データ契約が少しとMVNOが少し、それからモジュールがごっそり、という構成。一方、auはほぼすべてが音声契約、という感じでわかるんだそうです。

ところが、どうしてもわからない会社がある、と。そう、言わずと知れた、ソフトバンクモバイル。この会社が、どのような構成で加入者を獲得しているのかが、いくら分析してもわからないのだそうです。

たとえば、自販機向けとか決済端末向けのモジュールとかだと、どこの会社がどのくらいの規模の回線を受注したか、なんていう情報はすぐに入ってきます。たとえばドコモが一昨年に50万回線クラスの大規模受注をしたときなんてのは、業界にいれば誰でも知ってる、くらいの一種のお祭り騒ぎでさえありました。そういった情報を拾い集めるのも実に簡単な話で、さらには、販売店での個人向けの販売状況も簡単に入手できますし、法人契約なんてのはほぼ筒抜け。よほど小規模の法人でもなければ2社以上の携帯電話を使っているのは当たり前ですし、そうなると、それぞれの会社がお互いの情報を得ようとして法人から契約状況を聞きだします。法人も口止めされているわけでもないので簡単に口を割ります(笑)。そうやって聞き出された情報は自社の情報ではないため扱いは軽く、メーカやコンサルなどに気安く提供されてしまうわけです。以前「ソフトバンクがドコモの獲得数をかなりの精度で追跡する仕組みがある」と言ったのも、この辺の事情があるからだったりします。

というような情報を積み上げていくと、かなりの精度で各社の獲得内訳を知ることが出来るのですが、どうも、ソフトバンクの獲得数だけは、内訳がまったくわからないそうです。販売店での販売数を積み上げてもまったく足りないし、大規模のモジュールもない。大物のMVNOをやっている気配もない。なのに、なぜか獲得数だけが大量に計上されている。ソフトバンクの新規獲得が毎月30~40万あるうちの結構な割合が一体どこから来ているのか、まったく分析不能、なんじゃこれ、という状況だそうで。

ドコモやauの新規獲得、店舗で売れている分は実はさして変わりはなくて、ドコモの純増数がauを圧倒している理由の大半はMVNOとモジュール。ところが、ソフトバンクも販売数の傾向自体はドコモとほとんど変わらないのに、かつ、MVNOやモジュールのネタもないのに、長らくドコモ以上の獲得数を計上し続けている、という状況。

まさかすべてが寝かせなんてことはないとは思いますが、といって、ではこれらすべてがソフトバンクショップ、オンラインストアなどの情報の出にくい販路経由で、一般販路からの推定を超えた結果なのかというと、それもなかなか難しい。

まぁ、ソフトバンクの販売情報の管理が他社に比べて飛びぬけて優れている、というだけである可能性がもっとも高いのではあるのですが(元々が独占的販売で身を立てた会社ですし)、市場分析を生業としている立場としては非常に気持ちが悪い、と嘆いていました。

ちなみにイーモバやウィルコムも分析はしているそうですが、イーモバは「半数がPC格安販売、1割が未稼働、音声はほとんど売れてない」と自らゲロっちゃったくらいで、内訳はかなり知れていますし、純減の続くウィルコムなんぞは情報の価値なし状態。

もちろん、詳しい数字は教えてもらえませんでしたが(笑)、そういった話もあるのです、というご紹介でした。でわ~。

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XGPの上り電力 (2) SC-FDMA

2009/08/12

前回書きたかったのは、OFDMのW-SIMの可能性とかについてじゃなくてですね、もう一つの可能性のほうについてなんです。

XGPでは、上りチャンネルはもちろんOFDMですが、もう一つ、SC-FDMAを使う、という仕様も定められています。このSC-FDMAとはなんぞや、というところをちょっと解説しつつ、XGPでこれを使う利点などを考えて見ます。

SC-FDMAと言われて、そこそこ通信技術に詳しい人なら「あぁ、あのLTEの上りに採用されたやつ?」と思い当たるかと思います。そう、そのSC-FDMAです。SC-FDMAは、Single Carrier Frequency Devision Multiple Accessの略で、そのまま訳すと、単一キャリア周波数分割多重アクセス、となります。

実はこの名称が、結構誤解を生んでいる模様。というのが、この名前だけ見ると「要するにFDMAなんだよね?」と思っちゃう。実は私も長いことそう思ってました。しかし、その内実は、なんとOFDMなのです。わーわー。

すみません、これもいろいろと誤解を生むんですが、本当のシングルキャリアのFDMAだと思っちゃうよりはよほどマシな誤解なので、まずはそう思ってください。いやほんと、ややこしい名前付けるなよ、と思うんですが、とりあえず、実態はOFDMっぽいモノです。

ただ何をやっているかというと、えーと、ここから数行読み飛ばしてください。一旦比較的高速のシンボル速度で変調をかけた信号をフーリエ変換して周波数軸上に変換した後でそれぞれの周波数軸上の値を再度直交独立したサブキャリア上に変調してたくさんの信号ののったサブキャリアを作り出しそれを逆フーリエ変換して合成したものを送信する・・・ということをやっています。何のことだかわかりませんね。ごめんなさい。

ある処理、これを「フーリエ変換」と呼ぶのですが、比較的簡単なデバイスで実現できるこのフーリエ変換というものがあってですね、実はこのフーリエ変換をすると、ある合成された信号から独立した信号を取り出せるという非常に便利な変換で、逆に、この逆変換「逆フーリエ変換」を行うと、複数の信号を一本に合成できる、とまぁこういう変換です。通常のOFDMは、送信側で変調→逆フーリエ変換、受信側でフーリエ変換→復調という手順を踏むことで、信号のやり取りをします。ところが、この逆フーリエ変換をすると、たくさんの信号を足し合わせるので、偶発的に高い電力が発生しちゃう。そこで、まずは、高い電力を含まないおとなしい信号を作って、それをフーリエ変換しちゃう。これはもうなぜとかどうやってとかは考えない。数学的に純粋にフーリエ変換しちゃう。すると、なんだかわからないけど「最初の信号を表した数値がたくさん」得られます。このたくさんの数値は、そのまま合成しても、突発的な大電力を生みません。なぜなら、最初におとなしい信号を作って、それを分解しただけだから。このたくさんの信号を、今度はOFDMのセオリーどおりに逆フーリエ変換して送信するだけ。

SC-FDMAでは、送信側では変調→フーリエ変換→変調→逆フーリエ変換→送信、ということをやり、受信側では、復調→フーリエ変換→復調→逆フーリエ変換、ということをやるわけです。一手間増やしているわけです。別の言い方をすると、あらかじめ変調しておいてその成分を調べ、その成分の情報だけを再度変調して送る、という感じ。うん、やっぱりわからない。

<読み飛ばしココまで>
とにかくよくわからないけど、「OFDMの手間を一つ増やしてOFDMの弱点である高PARを防いだ方式」ということです。これを使うと、特に小さなパワーアンプを使わざるを得ない端末からの送信側、つまり上りでは、高いPARを防ぎ、結果、パワーアンプの大きさと消費電力を小さく出来る、というとても良い方法。

で、実は、XGPでも、上り側にこれが規定されているのです。これは、最初からOFDMの上り方向の厳しさを見込んで作りこんであったもので、特に上下対象通信とか、比較的広いエリア、高速移動、などといったことを考えると、いろいろとご利益が多い。これが最初から規定してある、というのも、WiMAXに対する利点といえます。

ただし、最大の問題は法律。2.5G(XGP)の方式の要件に、「上りはOFDM」と書いてあるんですね。XGPでのSC-FDMAは認められていない。だから、XGPで上りにSC-FDMAを使うには、まずは法令の改正をしなきゃならないわけです。まぁなんつーか、最初に総務省と話し合うときに思いっきり漏れちゃってたんだろうとは思うんですけど、何とかがんばって働きかけて欲しいものですね。

さて、ここまで説明して、「なんだよ、SC-FDMAのほうがいいところだらけじゃん、なんで下りも全部SC-FDMAにしないのよ」となるかと思います。私もそう思います。一つの問題は、処理量。一手間増やした、とは言いますが、その「一手間」はかなりでかい一手間。しかも基地局は何十という端末を相手に全部それをやらなきゃなりません。とても無理、というのが一つの判断。そしてもう一つは、やっぱり効率面。一度アナログ波形を作ってから再度デジタル処理ということを行うので、離散化誤差が必ず発生します。この離散化誤差を少なくするためには、最初の波形の変調速度を落とせばいいのですが、変調速度を落とす=通信速度を落とす、ということです。もちろん理論的には100%OFDMと同じレベルまでいけますし、確率的にはもっと上も可能ですが、現実的には少し落として使ったほうが良いもの。あるいは、同じ変調速度でも、多値変調は歪みの影響で使いづらくなる可能性もあります。そんなわけで、まぁわざわざ処理の多い方式をピーク速度が必要な下りに使う必要はないよね、という感じで、限定的な使用にとどまっているのかなぁ、と思ったりします。

ということで期せずしてSC-FDMAの解説記事になってしまっていますが、いやほんと、なぜこの方式にあえて「FDMA」の名前をつけちゃったのか、本当にわからない。実際に送信される信号は、非常にOFDMに近い信号なんですよ。せめて、SC-OFDMAとか、一言「O」の字を入れておけば、まだ理解までの道のりは近いのにねぇ。

そんなわけで、XGPで上りの省電力、すなわち端末の小型省電力化に向けての最大の「工夫」は、おそらくこのSC-FDMAの採用に鍵があると思われます。方式は規格化されているので、後は法令の問題のみ。こればっかりは、ウィルコムの交渉力と総務省の柔軟性にかかっていますが、とにかくがんばれーと無責任なことを言っておしまいにしておきます。でわ~。

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XGPの上り電力 (1) OFDMとPARとアンプ

2009/08/11

さて。XGP対応のW-SIMや、あるいはもっと条件をゆるくして、USBドングル型端末、これらが実現するためには、ちょっと難しい問題があるのです。

それは、消費電力。ご存知のとおり、XGPは上りも最大10MHzの帯域幅でのOFDM伝送なので、この消費電力が非常に大きくなってしまい、ドングル型での対応はかなり難しいのが事実。

そりゃ、802.11gとかでは20MHzのOFDM伝送なんてことを平気でやっていますけど、XGPでは、飛ばそうとしている距離が桁違い。当然ピークパワーも桁違いになります。そして、何よりその消費電力低減を制限しているのが、RFのパワーアンプ。

OFDMの最大の欠点として、PAR(Peak-to-Average power Ratio:電力の最大値と平均値の差)が非常に大きくなる、というものがあります。ちょっと直感的にわかりづらいかも知れませんが、OFDMはとにかくたくさんの波を合成して一つの波に変えるので、偶発的にものすごい高さの波が出来ちゃうんです。

ということは、パワーアンプは、その「偶発的なすっごい高い波のピーク」まで対応しておかなければなりません。用語で言えば「非常に広いダイナミックレンジが必要」とでも言えます。ところが、パワーアンプというものは、そもそもが「波を増幅する」のが仕事なので、その波の大きさ自体が直接的にコストと回路規模に反映されます。さらには、OFDMではかなりきれいな線形性を維持しなければなりません。パワーアンプはなんだかだいってもアナログデバイスなので、完全な線形ということはありえず、パワーアンプの守備範囲の中でも特にきれいな線形になる部分だけを使うことになります。逆に言うと、必要な守備範囲の何倍もの性能を持ったパワーアンプを使う必要が出てくる、ということ。

非常に広いレンジの線形領域を持っていてその部分だけを使う、ということは、かなりパワーアンプに余裕を持たせた動作をさせるということです。たとえば、最初からある程度の下駄を履かせておくということになります。この下駄の部分も当然電力を消費します。よーするに、OFDM用のパワーアンプは、必要な電力に比べてかなり大きな電力を馬鹿食いしちゃう、ってこと。

となると、たとえば消費電力(電流)に厳しい制限のあるUSBタイプでの実現には何か一工夫が必要になってきますし、パワーアンプのパワーとサイズは基本的に比例関係ですから、W-SIMに入れるとなると今度はその大きさがネックになります。どちらにしろ、一筋縄ではいかないということです。

UQのWiMAXは、しかし、すでにUSB端末を作り上げています。これにはいくつか理由があって、まず第一に、WiMAX端末向けのチップがすでにかなり多くあり、しかも消費電力面でもかなりこなれてきている、ということ。また、WiMAX端末向けのデジタル線形化チップなどもすでに市場に出ていて、これを使うだけでパワーアンプの消費電力を半分に出来ます(半分の規模のパワーアンプで十分になる)。また方式上の利点として、TDDの上り時間が下り時間の半分、つまり、まったく同じチップを使っても平均消費電力は上下対象のXGPに比べても単純に1/1.5に出来るのです。

ということで、ウィルコムがXGPでこういったことを実現するためには、いろいろと大変だと思います。WiMAX向けのチップがほぼそのまま使える、とは言っていますが、それでも元々WiMAX向けに作ってあるチップをそのまま流用できるわけでもなく、ほんの少しでも手を入れるならそれだけで製品立ち上げのための莫大な手間と費用がかかります。もちろんWiMAXと同じことをやっても、それでも消費電力は(空中線電力比で)1.5倍です。ここからさらに1/1.5にするための独自の工夫が必要になります。これが解決するまで、同じレベルの端末が出てくるのはなかなか難しいでしょうね。

さて、実は、これとは別のアプローチの可能性が、XGPには残されています。長くなってきたので、続きは次回。

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